シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ⑪
パート2 グランズウェル
□ コラボ消費の登場
人類学者はこの互助精神(助け合いの心)と相互依存(「今日は私があなたに食べ物をあげるから、
次はあなたが私に食べ物をください」)は、人と人とが助け合うためにあらかじめ人間の本能に
刷り込まれた行為であり、だから人間の存在の核ともいえるものだという。
コラボ消費を身近に行うミレニアム世代はますます増えている。
だが、こうした習慣はひとつの世代だけの特徴ではない。
さまざまな形のコラボ消費に参加するには、多少はネットに慣れていた方がいいけれど、
テクノロジーオタクではなくても、パソコンの上級生ではなくてもいいし、大都市に住んでいる
必要もない。
実際に、イーベイにとり憑かれた膨大な数のベビーブーマー(ユーザーの21パーセントは
50歳以上)から、ますます頻繁に物々交換のサービスを利用しているジェネレーションXまで、
多種多様なサブカルチャーや社会経済階層、年齢、性別、人種のグループが、それぞれ違う形の
コラボ消費に参加している。ただ、コラボ消費に参加するには、大きく分けて二つのやり方があり、
それぞれが別の人々を惹きつけている。
ひとつは、個人プロバイダーとして、貸し借りやシェアの対象になる資産を提供する。
もうひとつは、個人ユーザーとしてモノやサービスを利用する立場。
両方の立場で参加する人もいれば、一方の立場だけがいいという人もいる。
コラボ消費の利用者のなかには、先を読み、社会のために良かれと考える人もいるが、
そうではなく、新しくよりよい方法を探したいという現実的な理由から利用する人たちもいる。
その現実的な理由とは、お金や時間の節約かもしれないと、よりよいサービスを利用する
ことかもしれない。それはまた、より持続可能な形で生活してすることかもしれないし、
ブランドよりも人とより強くつながることかもしれない。
コラボ消費に参加する人の大半は、少女ポリアンナのような無邪気な善人ではなく、資本市場や
自己利益の追求といった原則を強く信じている。
□ コラボ消費のシステム
スワップ取引、タイムバンク、地域通貨システム(LETS)、ソーシャルレンディング、P2P通貨、
ツール交換、ランドシェア、衣服スワップ、おもちゃシェア、オフィスシェア、コ・ハウジング、
コ・ワーキング、カウチサーフィン、カーシェア、クラウドファンディング、バイクシェア、
ライドシェア、協同組合、ウォーキング・スクールバス(集団登校)、小型託児所シェア、P2Pレンタル—
数え挙げればきりがないが、これらは、すべてコラボ消費の例だ。
すでにお馴染みのサービスがあるかもしれないし、そうでないものもあるだろうが、どれも
今急速に利用者が増加している。
これらのサービス例は規模も成熟度も目的もばらばらだが、大きく三つのタイプに分けられる—-
プロダクト=サービス・システム、再分配市場、コラボ的ライフスタイルだ。
次章以降で、これを各章ひとつずつとりあげる。
この続きは、次回に。