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シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ⑫

プロダクト=サービス・システム(PSS)

 

✔︎ ある製品-プロダクトを100パーセント所有しなくても、その製品から受けたサービス—

   つまり利用した分—にだけお金を払うという、「所有より利用」の考え方に、バックグラウンドの

   違うさまざまな年代の人々が、ますます傾いている。

   このコンセプトがプロダクト=サービス・システム(PSP)の基本であり、このモデルが個人の

   私的所有を前提に成り立ってきたこれまでの産業を破壊しつつある。

 

   プロダクト=サービス・システムの環境への明らかなメリットは、あまり使われていない

    私有物を、シェアによって最大限に活用できることだ。

   ユーザーにとっては二倍のメリットがある。

   まず、品物のダイキンを全額払わなくていい。

   維持費、修理費、保険料などが節約できるうえに、持てる資産を最大限に活用することもできる。

   また、モノとの関係が所有から利用へシフトすることで、旅行やレジャー、仕事、食べ物、

   そして子供に関することまで、さまざまなニーズを満たすためのチョイスが変わり、多様になる。

 

再配分市場

 

   ソーシャルネットワークをとおして、中古品や私有物を、必要とされていない場所から

   必要とされるところ、また必要とする人に配り直す。

   これがコラボ消費の第二のタイプ、再分配市場モデルだ。

 

   取引の対象が何であれ、再分配市場モデル、中古品を廃棄せずにリユースと再販を進め、

   また新品を生産することで生まれる廃棄物やそこに投入される資源を大幅に減らすことができる。

 

   再分配は五つ目の「R」—-リデュース、リサイクル、リユース、リペア、そしてリディ

   ストリビュート—–であり、ひとつの持続する可能な商取引のあり方として認められるように

   なってきた。

   再分配市場モデルは、これまでの生産者、消費者の関係に挑戦し、「もっと買おう」

   「新品を買おう」というこれまでの原則をひっくり返すものだ。

 

 

コラボ的ライフスタイル

 

   シェアやスワップ、物々交換の対象になるのは、自動車や自転車や中古品といった目に見える

   ものだけではない。

   同じような目的を持つ人たちが集まり、時間や空間、技術やお金といった、目に見えにくい

   資産を共有する—-これがコラボ的ライフスタイルモデルだ。

   こうしたやりとりが、地域レベルで拡がりつつある。

   インターネットのおかげで、メンバー同士を調整し、規模を拡大し、物理的な隔たりを

   飛び越えることができるようになったために、このモデルは世界的な拡がりを見せている。

 

   このモデルでは、交換する対象が、しばしばモノではなく人と人の関わり合いなので、

   お互いを強く信頼することが求められる。

   その結果、こうしたサービスから無数の人と人とのつながりや社会的信頼が生み出される。

 

   プロダクト=サービス・システム、再分配市場、コラボ的ライフスタイルのどのモデルを

   とっても、ユーザーの動機はさまざまだ。節約したい人もいれば副収入を得たい人もいる。

   便利だからという人もいれば、友達をつくりたいからという人もいる。

   空間や時間を節約したいからかもしれないし、コミュニティの一員として「正しいことを

   したい」からかもしれない。

   ほとんどの場合、サステイナビリティとコミュニティがコラボ消費にもともと備わった、

   切り離せない要素で、おまけやあとづけではないからだ。

 

   消費者と企業が共にその行動を変えようとして初めて、サステイナビリティはほんとうの意味で

   大きく進歩する。

   コラボ消費は、ユーザー自身の得になるものであり、罪悪感に訴えかけたり自己犠牲を

   強いるものではない。また、それが企業や社会に価値をもたらす一方で、習慣を変えることが

   ふつうの人にとって容易で、魅力的なものでなければならない。

   そして、新しい習慣に大きな見返りがあれば、その行動が根づく可能性も高い。

 

   本書でも紹介してゆくように、コラボ消費につま先を踏み入れると、それが衣類の交換であれば

   カーシェアであれ、それ以外の行動も少しずつ変わりはじめる。

 

 

この続きは、次回に。

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