シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ⑬
□ コラボ消費の四大原則
コラボ消費の様々な例を見てゆくと、どのサービスにも、その根底に四つの大切な原則が
あることがわかる—–それは、「クリティカル・マスの存在」「余剰キャパシティの活用」
「共有資源(コモンズ)の尊重」、そして「他者との信頼」だ。
どれかひとつが他の原則よりとりわけ重要ということはない。
実際、ある原則がサービスの成功の決め手になる場合もあれば、それがあまり大切で
ないこともある。
第一原則、「クリティカル・マス」は、システムを自立的に維持するために充分なモメンタムが
そこにあることを表す、社会学の用語だ。
このコンセプトは、たとえば核連鎖反応や本のベストセラー化、またMP3のような新しい
テクノロジーの普及といった幅広い分野のさまざまな現象を説明するために使われている。
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□ 社会的承認
クリティカル・マスがコラボ消費に欠かせない要素だというもうひとつの理由は、コアな
ファンやリピーターが最初に集まるからだ。
モントリオールの街中で衆目を集めながら自転車にまたがるビクターユーザーや、衣服
交換で見つけたものをブログにアップする人たちのような初期のユーザーは、他の人たちも
これらのサービスを試してみるべきだ、という「社会的承認」を与えてくれる。
この「おすみつき」によって、新しいもの好きのアーリーアダブター(ジェリー・ムーア著
『キャズム』では、ハイテク・マーケティングモデルにおける先進層のこと。
それより先にイノベーターがいる)だけでなく、ふつうの人たちが、これまでと違う行動を
とる時に感じる心理的な壁を乗り越えることができる。
社会的承認を求めるには、わけがある。
それは、原始的な本能であり、他人の行動やふるまいを真似て決断することで、認知に
要するコストを節約できるからだ。
「これは、基本的なサバイバル本能だ。みんなそれほど変わらないし、同じ状況に置かれれば、
同じように行動する」チャルディーニ教授はそう解説する。
彼はこうした衝動によって生まれるのは、「仲間うちのプレッシャーというよりも、情報の
共有だ」と考える。
社会的承認はコラボ消費に欠かせない。
コラボ消費のモデルのほとんどは、人々に今までとは少し違う行動をとることや、古い習慣を
変えることを求めるからだ。
人々がこうした変化を受け入れるためには、クリティカル・マスと言えるほど大勢の消費者が
やはり変化していることを目の当たりにしたり、実際に経験したりする必要がある。
私たちは周囲の人がしていることを見て、自分の行動を決めることがほとんどだ。
社会学者のアレックス・ミカロスが「自分の持っているものと、自分と同じような人が
持っているだろうものの差が消費意欲を生む」と言うように、それと同じ力がここにも
働いている。
「他のみんなもやっている」というメッセージは、社会的責任や次世代のための資源節約より
効果があることも少なくない。
皮肉なことに、過去50年にわたってハイパー消費を生んできた「お隣さんに追いつけ」という
社会現象やプレッシャーがコラボ消費のためにも同じ役割を果たすだろう。
□ 余剰キャパシティの活用
使えるはずの5000万本のドリルが埃をかぶっていれば、それこそ余剰キャパシティだ。
ちょっとまわりを見回しただけでも、ムダなものの多さに驚くはずだ—わざわざゴミの
埋立地に行かなくても、自分の持ち物を見回してみれば、そこには使われていないものが
たくさんあるはずだ。
余剰キャパシティは、自転車や自動車や電動ドリルなどのものに限らず、目に見えにくい
時間やスキルや空間、あるいは電力などのコモディティにもあてはまる。
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この続きは、次回に。