雑学-サーバントリーダーシップ④
8. サーバントリーダーシップの事例・効果
それでは、実際にサーバントリーダーシップを取り入れている企業の事例を見てみましょう。
✔︎ 資生堂
後に「サーバントリーダーシップ入門」という書籍も執筆する、資生堂元社長の池田守男氏。
池田氏は、当時経営の厳しかった資生堂の社長に就任し「会社を再建する」「新しく
生まれ変わらせる」という使命の元、組織改革を行いました。
「店頭基点」を念頭に、顧客を一番上に置く逆ピラミッド型組織を推進し、組織に
サーバントリーダーシップの精神を根付かせました。
具体的には、池田氏自ら、ビューティーコンサルタントや営業職の会議に顔を出し、
現場スタッフの話に耳を傾けました。そうする事で資生堂の組織は次第に活性化し、
経営も上向きに転じたのです。
✔︎ スターバックスコーヒー
世界的コーヒーショップのスターバックスコーヒーも、サーバントリーダーシップを
取り入れている企業の一つです。
スターバックス・インターナショナルの元社長ハワード・ビーハー氏は「”サーバントな
文化”“人を大切にする文化”を原動力に、スターバックスを世界的なコーヒーショップに
した」と語っています。
この精神から、スターバックスはストアマネージャーを対象にした「奉仕型リーダー
育成セミナー」を行っています。
サーバントリーダーシップの精神が組織に根付いた事により、現在では全世界で
約2万4000店舗、日本でも約1700店舗(2016年3月現在)を誇る巨大コーヒーチェーンと
なっています。
【参考】部下をやる気にさせる上司のサーバント・リーダーシップ 第4回アメリカで
✔︎ 良品計画
無印良品を運営する良品計画元社長の松井忠三氏は、業績が急落したタイミングで社長に
就任しました。就任後、松井氏は全国のほぼ全ての店舗を回り、店長や現場の話に耳を
傾ける機会を設けました。
そして、そこで見えてきた課題を元に、業務を見える化するため「MUJIGRAM」という
マニュアルを作成。
同時にスタッフの声を吸い上げるシステムも開発し、その声を元に毎月ブラッシュアップを
重ねています。これは、サーバントリーダーシップの特性にある「概念化」「先見力」を
駆使した事例だと言えます。
良品計画は2000年から業績を悪化させていましたが、2001年に松井社長が就任すると、
その後V時回復を達成し、現在は増収増益を続けています。
【参考】無印良品がV字回復できた理由 /NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会
✔︎ ダイエー
ダイエーの元社長である樋口泰行氏は、自らサーバントリーダーシップを体現しました。
赤字店舗の閉鎖にあたり、その対象50店舗に対し直接説明や御礼に訪れました。
すると、対象店舗のスタッフ達のモチベーションが向上。
その努力により成功した「閉店売りつくしセール」が影響し、2年4ヶ月ぶりの前年比
プラスの売り上げを記録しました。
閉店後も、スタッフたちのモチベーションは維持され、異動先のスタッフたちに積極的に
働きかけを行った事で、ダイエーは11ヶ月連続の前年比プラスの売り上げを達成しました。
【参考】あなたはサーバント・リーダーか、支配型リーダーか?/ プレジデントオンライン
9.まとめ
● サーバントリーダーシップとは、従来の支配型リーダーシップとは真逆の、
部下に奉仕し支援するタイプのリーダーシップを指す。
● サーバントリーダーシップは、部下の話に耳を傾け、しっかりと相手の伝えたい事を
見極める「傾聴」などの10の特性を持っており、それらは部下の行動をも変える。
サーバントリーダーシップは、資生堂ほか企業のトップにも影響を与え、導入した企業は
一定の成果を挙げている。
この続きは、次回に。