書籍「10年後の自分」を考える技術 ⑳
いずれのメディアを使うとしても、そのような姿勢で強制発想ツールを用い、
「変化ドライバー」が視野に入り込む環境を意識的に作り出すことが重要だろう。
「変化ドライバー」とは何か?
専門用語であるが、要は私たちをとりまく「環境を変化させる要因」の
ことであり、たとえば新技術の開発や新発明、潜在的なムーブメントなどが
それに当たる。
具体的に言えば、「高齢化の進展」「エコ意識の高まり」「ユビキタス社会の
到来」「あらゆる機器のネット端末化」などが、そのような典型的な
変化ドライバーだ。
第1章の終わりで挙げた「時代観キーワード」をさまざまな視点で列挙
したものと思ってもらってもかまわない。
「集中から分散へ」の例でいえば、「クラウドコンピューティングの進展」
「スマートコミュニティの台頭」「地方分権の進展」などが変化ドライバーに
該当するだろう。
✔ 変化ドライバーを見つけたら、つぎはそれを「定点観測」する
そして、そういった変化ドライバーを挙げることができたならば、それらを
「定点観測」していこう。
「定点観測」とは比喩な表現で、その情報について定期的にウォッチし、
その状況をチェックし続けることを指す。
たとえば、「インターネットのメディアとしての定義」という変化ドライバーを
定点観測するのであれば、テレビとインターネットが家庭で1日あたり
どのくらいの時間、利用されているのかを、定期的に見ておくことが
必要だろう。
年々、インターネットの利用時間は増えていっている。
こうやって、時系列で「定点観測」すれば、いかに早いスピードで、インター
ネットが私たちの生活に浸透しているかがはっきりとわかるだろう。
このような定点観測により、さまざまな変化ドライバーのスピード感が
体感できるようになる。
その結果、世に出回っている「予測」情報が、本当にそのスピード感で
動いていっているのかもわかるようになる。
たとえば、「電子ペーパーの浸透により紙が駆逐されていく」といった話は、
もう10年以上前から言われているが、前章でも説明したような理由で
「一本道」では進んでいない。
定年観測をしっかり行うことで、オーバーな予測と実感のズレについて、
敏感になれるのである。
一定の情報量がないと、未来を考察することすらできない。
さまざまな強制発想ツールを使って情報を集めて、「自分や家族をとりまく
環境が今後どうなるか」「これからどんな時代がやってくるのか」について
広く考えてみよう。
「変化ドライバー」をなるべく多く集めてみるのだ。
自分の未来を考えるからと言って、今すべてを「決め込む」必要はない。
とにかく、まずは発散型で広く考えることがポイントになる。
この続きは、次回に。