代謝とダイエット
新型コロナウイルスの影響で、自宅でずーっと外出自粛をしております。
接角のあまりある時間ですので、書籍を数冊購入致しました。
その内の一冊-ユーキャン の食生活アドバイザー検定2級 第3版
速習テキスト&予想模擬の中から、「1章 栄養と健康 Lesson6 代謝と
ダイエット」をご紹介したいと思います。
詳細は、是非、購読にてお願い致します。
Lesson6 代謝とダイエット
ここでは、食物の消化と吸収、エネルギー代謝、そしてダイエットについて
学習します。
基礎代謝量の意味や特徴が重要です。
また、肥満の原因から正しいダイエットとは何かを考えてみましょう。
1. 消化と吸収
消化には、機械的消化、科学的消化、生物学的消化の3種類がある。
(1) 消化とは
食物を構成する糖質、脂質、たんぱく質は、複雑な構造をした大きな
分子(粒)なので、そのままの状態では体内に取り込めません。
そこで、栄養素を体内に吸収しやすくするため、細かく分解する必要があります。
この働きを「消化」といいます。
消化された栄養素は、ほとんどが小腸で吸収されます。
● 大部分の栄養素は小腸で吸収され、大腸では主に水分が吸収されます。
アルコールは胃で吸収されます。
消化の作用は次の3つに分けられます。
① 機械的消化
口の中で「咀嚼」され、消化管内で混和・攪拌・運搬されること。
消化管とは食物が消化されながら通る管であり、口→食道→胃→小腸
(十二指腸・空腸・回腸)→大腸→肛門の順につながっています。
● 咀嚼
口に入れて噛み砕くこと。
咀嚼された食物は、消化管による収縮(ぜん動運動)によって胃に送られていく。
② 科学的消化
消化液に含まれている消化酵素の働きにより、食物を体内に吸収しやすい物質に
分解すること。
③ 生物学的消化
腸内細菌により、発酵分解されること。
(2) 消化の過程
食物が口から摂取され、消化吸収されて、便として排せつされるまでには、
24〜72時間(1〜3日)かかるとされています。
2. エネルギー代謝
エネルギー代謝量は、基礎代謝量、安静時代謝量、運動時代謝量に区別される。
● 私たちはエネルギーがなければ、からだを動かすことも頭を働かせることも
できません。
カロリーはエネルギーの単位にすぎませんが、「カロリーの摂りすぎ」などと、
一般にはエネルギーと同じ意味で使われています。
(1) 代謝とは
代謝とは、栄養素を摂取して体内で活用し、不要物を排出するまでの過程を
いいます。
3大栄養素である炭水化物(糖質)・脂質・たんぱく質がいずれもエネルギーを
発生することはすでに学習しましたが、エネルギーを摂取したり消費したり
することを中心にして代謝をとらえた場合を「エネルギー代謝」といいます。
(2) エネルギー代謝量
エネルギー代謝量には次の3つの段階があります。
① 基礎代謝量
何もせず、ただ横になっている状態において消費されるエネルギー量のこと。
生命維持のために消費される最低限のエネルギーといえます。
20歳代男性で1日約1,300〜1,600kcal、20歳代女性で約1,100〜1,200kcalと
されています。
基礎代謝量には次の特徴があります。
・からだの表面積に比例して高くなる。
・男性のほうが、女性より高い。
・若者のほうが、高齢者より高い。
・冬(寒いとき)のほうが、夏(暑いとき)より高い。
・体重が同じならば、筋肉量の多いほうが高い。
● カロリーとジュール
カロリーは熱量またはエネルギーの単位として日本では広く使われているが、
国際的にはジュールという単位が用いられる。
② 安静時代謝量
座った姿勢で休息している状態において消費されるエネルギー量です。
座る姿勢を保持するための緊張エネルギー量を基礎代謝量に加えたものであり、
基礎代謝量の約1.2倍になります。
● 睡眠中の基礎代謝量は、起きている時より下がります。
③ 運動時代謝量
安静時代謝量に、身体活動(運動や作業)のためのエネルギーを加えたものです。
■ 3段階のエネルギー代謝量の関係(例・20歳男性)
① 基礎代謝量 1,500kcal
② 安静時代謝量 1,800kcal
③ 運動時代謝量 2,300kcal
(3) エネルギー必要量
日常生活で行う労働や運動で消費するエネルギー量を「エネルギー必要量」と
いいます。
1日に摂取すべきエネルギー量を考えるときには、エネルギー量の過不足に
よるリスクがもっとも少ない推定エネルギー必要量が指標となります。
推定エネルギー必要量は、人によって異なります。
デスクワークをしているのか、重い荷物を運ぶ仕事をしているのか。
ほとんど運動をしないのか、激しいスポーツをするのか、など身体活動レベルを
「低い」「ふつう」「高い」の3段階とし、基礎代謝量にかけ合わせて算出します。
推定エネルギー必要量=1日の基礎代謝量×身体活動レベル
(4) アトウォーター係数
各栄養素から発生する1g当たりのエネルギー量は、糖質が4kcal、脂質9 kcal、
たんぱく質4 kcalです。
これらの係数を使って、食品や献立の熱量を求めることができます。
例) ある食品に糖質5g、脂質10g、たんぱく質20gが含まれている場合、
この食品のエネルギーは何kcalか。
それぞれの重量(g)×係数( kcal/g)を合計します。
① 糖質 5(g)×4( kcal/g)
② 脂質 10(g)×9( kcal/g)
③ たんぱく質 20(g)×4( kcal/g)
①+②+③ =(5×4)+(10×9)+(20×4)=20+90+80=190
答え 190 kcal
● アトウォーター係数
食品に含まれる栄養素が燃焼するときに発生する1g当たりのエネルギー量。
エネルギー代謝の研究者であったアトウォーターが定めた。
● 食品によって吸収率が異なるため、計算で求めた数値は目安です。
3. 肥満とダイエット
ダイエットの鉄則は、摂取エネルギーの減少と、消費エネルギーの増加を
同時に行うこと。
(1) 肥満とその原因
肥満とは、体内に脂肪が過剰に増加した状態をいいます。
一般には、標準体重よりも10%以上重くなると肥満とみられます。
しかし、筋肉の発達について体重が重くなった場合は肥満とはいいません。
また逆に、やせているように見えても「隠れ肥満」かもしれません。
体重や見た目だけで肥満かどうかを判断することはできません。
では、肥満の原因とは一体何でしょうか。
食物から得る摂取エネルギー、生きて活動するためのエネルギーを消費
エネルギーといい、この2つが等しければ望ましい状態といえます。
● 隠れ肥満
体重は正常で、見た目にも太っているように見えないが、体重に対して
占める脂肪の割合(体脂肪率)が高い状態をいう。
■ 望ましい状態
摂取エネルギー=消費エネルギー
ところが、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余った分が脂肪として
体内に蓄えられてしまいます。これが肥満の原因です。
● 体脂肪
体内に蓄えられた脂肪を体脂肪といい、次の3種類に分けられる。
① 皮下脂肪
② 内臓脂肪
③ 血中脂肪
■ 肥満の原因
脂肪「肥満の原因」+ 摂取エネルギー – 消費エネルギー = 脂肪「肥満の原因
(2) 誤ったダイエット
肥満を解消しようと食事制限だけによるダイエットをしても、筋肉が減り、
脂肪が増えていきます。
このような悪循環のことをヨーヨー現象といい、やせにくく太りやすいからだに
なっていきます。
● 体重を減らすことだけにとらわれて食事制限をすると、ダイエットは
失敗します。
■ ヨーヨー現象
① 食事を抜く(または必要以上に食事の量を減らす)
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② 元気がなくなり、からだを動かさなくなる。
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③ 筋肉が落ち、基礎代謝量も減る。
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④ 脂肪よりも筋肉のほうが重いので、一時的に体重が減る。
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⑤ 安心して以前のように食べると、からだは飢餓状態を感じているため、
栄養素をすぐに脂肪にして蓄えようとする。
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⑥ 基礎代謝が減ったため、脂肪が燃えにくい体質になる。
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⑦ 脂肪が増えて(リバウンド)、または①に戻る。
● 拒食症と過食症
極端なダイエットから拒食症に派生する場合がある。
むちゃ食いや嘔吐など異常な食行動を繰り返し、拒食から過食へ移行することが
多い。
標準体重を20%以上下回った場合は、神経性無食欲症と診断されることがある。
(3) 正しいダイエットとは
肥満は(エネルギー摂取量)>(エネルギー消費量)が原因でした。
しかし、エネルギー摂取量を減らすだけでは誤ったダイエットになる
可能性があるので、エネルギー摂取量を減らすだけではなく、同時に
エネルギー消費量を増やすことがダイエットの鉄則です。
エネルギー消費量の中身はエネルギー代謝量です。
エネルギー代謝のうち、基礎代謝は筋肉量が多いほど基礎代謝量が増えることが
特徴です。
筋肉量が増えれば基礎代謝量が上昇し、運動していないときでもエネルギー
消費量が増えるようになるのです。
■ 正しいダイエット
● エネルギー摂取量を減らす
・早食いをやめ、ゆっくりと、よくかんで食べる。
・間食と夕食の大食いをやめる。
・油脂類を控えめにする。
● エネルギー消費量を増やす
・車の使用を控える、電車の中で立つ、階段を使うようにするなど、からだを
動かすことを心がける。
・1日に20分以上、運動をする。
● 減量は1か月に2kg以内のペースとするなど、短期間で急激に減量しないことも
大切です。
✔ キーポイント
● 消化と吸収
1. 科学的消化とは、消化酵素の働きで栄養素を分解することをいう。
2. 唾液にはデンプンを分解するアミラーゼという消化酵素が含まれている。
● エネルギー代謝
3. 基礎代謝量とは、何もせず、ただ横になった状態において消費される
エネルギー量のことをいう。
4. 安静時代謝量が基礎代謝量の約2倍である。
● 肥満とダイエット
5. 肥満の原因は、エネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回ることにある。
6. ダイエットとは、エネルギー摂取の減少とエネルギー消費の増加を
同時に行うことが大切である。
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美