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危機の時代 ジム・ロジャーズ ⑮

・孔子の格言に耳を傾けよう

 

中国には、孔子という偉大な思想家がいる。

私は孔子の墓や生家とされる場所にも行ったことがある。

彼の考えは、時を超えて生き続けている。

彼の語った言葉を、何百年もの間、多くの人が高く評価してきた。

だから彼が言ったことには何らかの真実があるに違いない。

 

永遠に続くものには、おそらく何らかの真理がある。

もちろん孔子は今の時代に必要ないという人もいるだろう。

しかし、私は、試練に耐える際に必要な知恵が孔子の言葉に含まれていると

思っている。

 

孔子について学んだら、「ああ、神様、私は間違っていた」と思うように

なるだろう。

孔子自身も多くの間違いを犯したが、そこから学ぶ力に優れていた。

だからこそ、彼の言葉からは、試練に耐えるために役立つ何かが見つかるはずだ。

「立ち止まらなければ、あなたはどんなにゆっくり進んでも問題ではない」。

孔子はこう言った。忍耐と辛抱強さは人間にとって最も重要だ。

「どこに行っても、心を尽くして行動しなさい」という言葉も味わい深い。

 

私は常に人々にこう伝えている。

「あなたが他の人よりもよく知っていると思う分野に投資した方がいい」。

私の哲学は、孔子の哲学に通じるものがある。

「分かっていることを『知っている』という。分かっていないことを

『知らない』という。これが『知る』ということだ」。

 

孔子のこの言葉は、知っているものだけに投資すべきだという私の考え方に

近いように思う。

孔子の言葉をもう少し紹介しよう。

「我々の一番の栄光は、失敗しないことにあるのではなく、失敗するたびに

立ち上がる力にある」。

逆光でも希望を捨てず、辛抱強くあり、自殺しようなどと決して考える

べきでない。

「人間は逆境において、その真価を試される。人生の達人は逆境を楽しみ、

順境もまた楽しむ」

「成功者は必ず、その人なりの哲学を持っているものだ。その哲学がしっかり

しているからこそ、成功者の人生は揺るがない」

「考えのない学びは、無駄である。学ばずに考えてばかりいては、危険である」

「ふるきをたずねて新しきを知る。そうすることで人を教える師となれる」

いずれも、危機に直面した時だけでなく、人生において道標になる言葉ばかりだ。

 

・プラトンから学べること

 

ギリシャの哲学者プラトンはこう言った。

「何年も経ち、時が流れ、君の意見の多くがその逆になることもあるのだよ」。

また「自分自身に打ち勝つことは、最高で、最も崇高な勝利である」とも

語っていた。

プラトンは賢明な男で、その言葉は示唆に富んでいる。

私はそれらを引用した。

 

そして私が皆さんにできる最高のアドバイスは、繰り返しになるが、

「あなたが多くのことを知っている詳しい分野以外に決して投資しないで

ください」ということだ。

 

何も理解せずに投資をしている人が、どれほど多いことか。

毎日、インターネットの画面を開いて、投資先を選んで金融機関にお金を

送っている。

彼らは自分たちが投資家だと言うが、自分たちがしていることを本当に

分かっているか疑問だ。彼らは何も知らない。

 

人々は、毎日オンラインで多額のお金を送金している。

彼らは投資信託を保有していると主張するが、誰がそれを管理しているかは

知らない。彼らは投資信託についてほとんど何も知らない。

 

彼らは企業に投資するが、誰かから聞いた「良い投資先」の情報に従うだけで、

実際には自分の頭で考えて投資していない。

投資している対象について多くを理解していないのに、知らない人にお金を

与えるべきではない。

 

プラトンはこうも言っている。

「どれだけ知識を身につけたとしても、全知全能になることはできないが、

勉強しない人々とは天と地ほどの開きができる」。

 

あなたは自分が投資する対象について、多くを知っていない限り、どこにも

投資すべきでない。成功したいなら、知っていることだけに投資し、

よく知らない相手にお金を渡さないでほしい。

 

毎日何百万人もの人々が何も考えずにオンラインで投資している。

「Xという投資信託がいい」「いやYだ」などと彼らは言うだろう。

実際のところ投資している商品の中身が何であるかを分かっていない人が

ほとんどだ。

彼らは十分な研究をしないが、金融機関にお金を送金する。

 

ローマの劇作家テレンティウスの格言に「幸運は勇者に味方する」と言う

言葉もある。それは正しいが、無謀では仕方がない。

多くの情報を持っている方が、幸運を得やすいものだ。

多くの研究をすればするほど、幸運は増していく。

 

 

この続きは、次回に。

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