「終活」を考える ②
● 終活のメリット
終活で得られるメリットは、主に3つあります。
1つ目は、自分の意思が家族に伝わり、老後の生活が前向きになることです。
ただ、死を前提とする話は、健常な人であれば最初は戸惑うものであり、
聞かされる側も驚いてしまう可能性が高いので、伝えるときはまず「自身の
健康状態から切り出す」のがポイントです。
2つ目は、残された老後生活が充実することです。
死を人生のゴールとするなら、先行きが曖昧なゴールより、ある程度自身で
把握できたほうが、残りの時間を有効に活用できるでしょう。
3つ目は、遺産相続のトラブルを回避できることです。
金銭が関わる遺産相続では、「誰がどれだけ受け取れるか」が明確になって
いないと、大きなトラブルに発展するおそれがあります。
自分が生きているうちに、遺言書を残すことはもちろん、相続する相手とも
話し合いを進めておきましょう。
終活1:エンディングノートを書く
「終」という字を使うものの、「死ぬ」ではなく「生きる」に焦点を
当てるのが終活の目的です。
終活でやるべきことの1つ目として、エンディングノートを書きましょう。
● エンディングノートとは
エンディングノートには、正式な規格は存在しません。
書かなければならない項目が決められているわけではなく、ノートの中に
実際に記載する情報量も人によって異なります。
自由書式の職務経歴書をイメージすればわかりやすいかもしれません。
エンディングノートを書く目的は、主に「自分の死後、家族にかかる負担を
減らすこと」です。
● エンディングノートと遺言書の違い
エンディングノートには、プロフィールや自分史、現在の健康状態、葬儀・
お墓についての希望、その他気がかりなことなどを記載するのが一般的です。
一方、遺言書にはどんなことを書くのかというと、財産の処分方法や子どもの
認知といった法的効力があるものに限られます。
遺言書の法的効力は、本人の死後に初めて効果を発揮するため、エンディング
ノートのように生前の情報を記載することはありません。
法的効力を持たないエンディングノートでは、遺産相続ができない他、
死後の開封が自由にできたり、医療・介護などの生前についての希望を
書けたりもします。
法的効力を持つ遺言書では遺産相続ができます。しかし、自筆遺言の場合は
たとえ夫婦であっても、家庭裁判所以外死後の開封はできません。
医療・介護などの生前についての希望も記せません。
この続きは、次回に。