お問い合せ

リテールマーケティング  ⑨

④ 訪日ゲストに対するマーケティング・ミックスの展開

 

セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングが確定した後は、

一般に、商品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、店舗

立地(Place)の4つの手段を組み合わせて、マーケティング・ミックス

展開する。

 

(1) 訪日ゲストに対する商品化政策

 

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タイやインドネシア、台湾などでは、「クールジャパン」と呼ばれる

サブカルチャーや、自国にはない高品質の日本製品のニーズが高い。

しかし、その変化は激しいため、国内消費者同様に日常的な検証が必要で

ある。

 

クールジャパン

 

世界から「クール(かっこいい)」と捉えられる(その可能性のあるものを

含む)日本の「魅力」。アニメ、ポップカルチャーなどに限らず、世界の

関心の変化を反映して無限に拡大していく可能性を秘め、さまざまな分野が

対象となり得る。

訪日ゲストに対しては、日本国内でのみ販売されているという“限定性”の

ある商品の提供が有効である。また、訪日時の購入をきっかけに、

電子商取引(越境)や在日外国人を介しての商品購入も増加している。

 

サブカルチャー【subculture】

 

社会の正統的、伝統的な文化に対し、その社会に属するある特定の

集団だけがもつ独特の文化。大衆文化・若者文化など。下位文化。

サブカル。→カウンターカルチャー

 

ここで、越境ECについて少しみておく。

 

経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤

整備(電子商取引に関する市場調査)」によれば、2018年において、日本・

米国・中国の3か国間における越境EC市場規模は、いずれも国の間でも

増加した。特に、中国消費者による越境EC購入額の拡大が目立っており、

中国消費者による日本事業者からの越境EC額は1兆5,345億円(前年比

18.2%)である。

越境EC市場規模が拡大している背景には、スマートフォンの普及がある。

消費者は、スマートフォンによって手軽に海外の商品を購入できるように

なった。

小売業も、ECサイトを開設するだけで海外に直接出店することなく商品を

販売でき、しかも実店舗に比べ初期投資を大幅におさえることができる。

さらに商圏が世界中に拡大することで、自国にいながら海外の新規市場

開拓が可能になる。

 

越境EC

 

インターネットの通信販売サイトを通じて行う国際的な電子商取引(EC)のこと。

 

(2) 訪日ゲストに対する価格政策

 

訪日ゲストに対する価格政策としての最も特徴的なのは、消費税免税制度

ある。消費税は日本国内で物品を消費することに対する課税であるため、

物品を海外に持ち出すことを前提とする訪日ゲストの買い物については、

消費税が免除される。

日本の免税制度は、世界でも最も利用しやすく、メリットが多い制度だと

いわれている。

 

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(3) 訪日ゲストに対するプロモーション(販売促進)政策

 

観光庁「2018〜2020年度 訪日プロモーション全体方針」から、データや

情報を入手して、分析しましょう。

 

例えば、

 

観光庁は、訪日プロモーション方針を公表しており、訪日外国人旅行者

全体の約8割をしめるアジアのみならず、海外旅行市場の大きさに対して

訪日旅行者数が十分に大きいとはいえない欧米やオーストラリアをはじめ、

訪日インバウンドの成長が見込まれる全世界の市場からの誘客に取り組んで

いる(観光庁「2018〜2020年度 訪日プロモーション全体方針」)。

 

国土交通省は、訪日旅行促進事業(訪日プロモーション事業)として、より

戦略的にインバウンド政策を推進するとともに、自治体などとの連携による

多様な魅力の発信により、地方への誘客を強力に促進している。

 

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日本政府観光局(JNTO)では、海外プロモーション事業として、

 

① ビジット・ジャパン事業

 

② 魅力ある訪日旅行商品の企画・開発・販売の支援

 

③ 海外現地メディアを通じた情報発信

 

④ WebサイトやSNSを通じた訪日観光情報の提供、などを実施している。

 

小売店においては、初来日ゲストを代表とする新規顧客の獲得と、韓国・

台湾・香港人のゲストに代表されるリピーター層の取り込みの両面から

プロモーションを展開することが必要である。また、訪日ゲストならではの

特性として、多言語表示のSNSやホームページを通じた情報発信など

デジタルマーケティングや、旅行者が多く利用する媒体の活用に留意する

必要がある。多くの訪日ゲストは、インターネットでの情報やSNSを介した

友人・知人からの情報が有用と考えており、訪日ゲスト自身の情報発信や

口コミが次のゲストへのプロモーションにつながっていることに留意し

なければならない。

また、訪日ゲストは、日本人と異なる広告媒体に接することが多い。

たとえば、旅行代理店が提供するパンフレットや日本各地の観光案内所

などで提供される情報は、訪日ゲストの行動に大きな影響を及ぼす。

 

(4) 訪日ゲストに対する店舗立地政策

 

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この続きは、次回に。

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