リテールマーケティング ㊴
④ 再発防止のための組織対応
(1) 日頃からの体制づくりを行う
クレームのきっかけとなった犯人(担当スタッフなど)探しをしても改善には
つながらない。実際にクレームが起きた場合、どのようにクレーム処理を
しているのか、責任者として誰が出るのかなど、日頃から取り決めておく。
そして、クレーム対応や謝罪が必要になった場合、どのようにクレーム処理を
しているのか、責任者として誰が出るのかなど、日頃から取り決めておく。
そして、クレーム対応や謝罪が必要になった場合、すぐに誤りに行ける体制を
整えておく事である。「後回し」は確実にクレームを悪化させる。
また、最初の対応(一次対応)でできること、できないこと、さらにその権限に
ついても社内で基準を作っておくとよい。
応対するスタッフによって返答が異ならないよう、基本的な流れと知識を
マニュアル化し、情報を共有する。
(2) 想像力を高める
クレームの予防には想像力を働かせることが重要である。
顧客を長く待たせる、レジ待ちの列の横入りをレジ担当者が放置する。
衛生的な身だしなみができていないなどがクレームにつながることは、
少し想像力を働かせればわかるはずである。常に顧客の立場に立ち、何に
対して不快・不満を感じるのか想像することで、クレームを小さな種の
うちに摘むことができる。また、言葉遣いや所作など、本人は悪気がなく
ても何かが顧客の気に障ってクレームになってしまうこともある。
クレームが起きそうなポイントをスタッフ内でお互いに指摘しあえる環境
づくりも大切である。
■【所作】しょさ
1. 行い。振る舞い。しわざ。「一日の所作を日記に記す」
2. 身のこなし。しぐさ。また、演技の動作。「大げさな所作をする」「役者の所作」
4. 仏語。身・口・意の三業(さんごう)が発動すること。能作に対していう。
5. 仕事。職業。
「常に畋猟(かり)、漁捕(すなどり)を以て―とする国なり」〈今昔・三・二六〉
(3) ホウレンソウ(報告・連絡・相談)で共有する
クレームを担当者一人に抱えさせないことも重要である。
クレームを一身に背負い込むことで、精神的に追い込まれ場合がある。
必ず上司や仲間とホウレンソウ(報告・連絡・相談)を徹底し、共有する
ことで再発防止とともにサービス向上にも役立つ。
また、クレームを報告する際、一次対応者は「自分が悪くない」と保身に
走ったり、「大変です!」と騒ぎ立てるだけになってしまうケースもある。
そのため、上司(管理者)は、事実だけを報告するように日頃からスタッフを
指導しておく。結論から先に伝えるなど、報告の仕方を決めておくとよい。
報告の仕方を徹底させることで、顧客への事実確認の質も向上する。
(4) クレーム対応会議を実施する
店舗でのクレーム対応策としては、定期的な店内クレーム対策会議の実施が
有効である。たとえば、次のような形で実施する。
・人数:4〜6名程度。多すぎないほうがよい。
・場所:自由(店舗内の会議室で可)
・時間:1時間程度(月1回、1時間など定例化することが望ましい)
・目的:クレーム情報(頻度の高いクレームや対応がむずかしいクレーム)を
スタッフ全員で共有すること。
・内容:クレームについての内容だけに絞る(他の議題と並行させない)
会議では、この1か月間で自分が対応したクレームについて、その内容、
対応策、顛末も含めて発表する。そして、クレーム対応で得た「気づき」
(対応でよくできた点、反省すべき点、対応しながら感じた点など)や、
クレーム削減、業務改善のために考えられる対策を共有する。
たとえば、「最近、○○についての意見が多い」とか、「このような言い方を
してみたら、すんなりご納得いただけた」など、クレーム対応で得たさまざまな
気づきを共有しあう。また、必要に応じて、クレーム対応をするスタッフ役と
クレームを入れる顧客役に分かれて、クレーム対応のロールプレイングを
実施する。また、過去1か月間のクレーム件数も集計し、増減を数字で
見られるようにする。会議で挙がった改善点を実行し、その結果を1か月後に
数字で確認するという取組みを繰り返し、効果を実感することが大切で
ある。
□ 顛末(てんまつ)
「顛末」は「顛(いただき)」から「末(すえ)」まで全てを表す言葉で、
ものごとの最初から最後までの全事情、またいきさつを意味する言葉です。
ものごとには一つ一つに対し、それぞれ計画や経緯、そして結果などの
要素がありますが、これらの要素で構成されたのが「顛末」です。2019/09/25
□ ロール‐プレーイング【role-playing】
実際の場面を想定し、さまざまな役割を演じさせて、問題の解決法を
この続きは、次回に。