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リテールマーケティング  ㊶

(3) シフト勤務者の睡眠のとり方

 

小売業における営業時間の拡大に伴い、シフト勤務体制のもとで働く

従業員は少なくない。この場合、どのようなシフトが組まれるかによって

睡眠への影響は異なる。そのため、一概にはいえないが、仮眠や起床時刻に

留意することで、睡眠の時間帯が一定しないことによるマイナスの影響を

修正することができる。

 

① “早番”で終業時間が早い場合

 

深夜ないし早朝から仕事が始まり、午前中に終わる場合、帰宅後から

午後3時までの間に20〜30分程度の仮眠をとるとよい。

脳をスッキリさせることができ、夜の睡眠の妨げにもならない。

一方、30分以上の仮眠はかえって不快感を生み、午後3時以降にまで仮眠が

及ぶと夜の睡眠がうまく取れない原因になることがある。

 

② “遅番”で就寝時刻が深夜になる場合

 

「深夜2時、3時になってから眠ると翌朝の起床も遅くなってしまい、昼

近くになって目を覚めたものの体がだるい。」

このような経験を持つ人は少なくないだろう。睡眠の質を保つためには、

就寝時刻がかなり遅くなった場合でも、普段の起床時刻にいったん起きる

ようにする。そのうえで前述のような時間帯に仮眠をとり入れ、日中の

眠気対策をとるとよい。

 

(4) 睡眠に酒はNG!

 

アルコールは、大脳の活動を抑制する神経に作用し、眠気をもたらす。

このため、昔から寝入り際に一杯やる習慣(いわゆる寝酒)は、睡眠をよく

する秘訣だといわれてきた。しかし、医学的な見地からは、適切な方法とは

いえない。なぜなら、アルコールによる入眠作用は短時間のものにすぎず、

むしろ熟睡への移行を妨げる作用があるからである。

また、アルコールには利尿作用(腎臓に働いて尿量を増やす作用)がある。

すると当然、トイレに行く回数も増えてしまい、ますます熟睡できない

状況になってしまう。

 

(5) 良質な睡眠のための生活習慣

 

人体には交感神経と副交感神経からなる自律神経系のネットワークが張り

巡らされている。交感神経は人間の活動レベルを高める役割を担い、一方の

副交感神経は心身をリラックスさせるのに作用する。

日常生活においては、これら2つの神経が場面に応じて相互に作用し合い

ながら最適なバランスをとっている。

たとえば、販売員などが会議でプレゼンテーションするような場面では、

交感神経が活発になり、心身のコンディションをチャレンジングなモードに

する。反対に、家でくつろいだりする場面では副交感神経が活発となり、

それがリラックスしたモードに体のギアを切り替える働きをする。

ところが、ストレスが慢性化すると、この切り替えがうまくいかなくなる。

家に帰っても緊張や興奮が続いて眠れない、などの症状が起こる場合もある。

自律神経系をきちんと作動させ、良好な睡眠習慣を得るためには、自律

神経系にメリハリを与えるような生活習慣を身につけておくことが大切で

ある。

 

表 4-2 自律神経系にメリハリを与えるための生活習慣

 

<帰宅後〜睡眠前>

 

・ウォーキングなどの負荷の軽い有酸素運動を30分程度行う。

・39℃程度のややぬるめの風呂に10〜15分程度ゆったり入る。

・風呂から出た後2〜3時間以内の、なるべく決まった時間に床に就く。

・寝室は照明を落とし静かな環境にする。

 

<起床後〜出社前>

 

・なるべく決まった時間に起床する。

・起床したら明るい光を浴びる(太陽光や昼白色蛍光灯)

・シャワーは熱めで5分呈す度とする。

・歯を磨く。

 

 

この続きは、次回に。

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