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書籍「すごい物流戦略」ZARA①

第4章 ZARAの物流戦略

 

・アパレルの世界でいま最も勢いのあるブランド

 

ファストファッションで世界的に有名なブランド「ZARA(ザラ)」は、

1998年に日本第1号店をオープンし、その後店舗数を順調に拡大。

2018年1月現在、日本国内で98店舗を展開しています。(直接的な店舗運営は

ザラ・ジャパンが担当)。

現在このZARAは世界96ヵ国に2000店以上を展開しています。

その運営全体を管理しているのが、スペインに本社を持つインディテックス

(Inditex)です。

ファストファッションというのは、ファッションサイクルを従来型小売りの

6〜9ヵ月から5週間程度に短縮し、より流行を意識した値ごろ感のある

商品で消費者の心をつかみ、成長を続けているカテゴリーで、このインディ

テックス、スウェーデンのH&M、ユニクロを展開するファーストリテイ

リングが市場を牽引しています。

 

ブランドの価値や戦略についてコンサルティング・サービスを提供して

いるBrand Financeが発表した2018年版アパレルブランドのブランド価値

ランキングによると、「ZARA」(ブランド価値174億5300万ドル)は、

前年に引き続き、「NIKE」(米国、280億3000万ドル)、「H&M」(ス

ウェーデン、189億5900万ドル)に次ぐ第3位でしたが、「オンラインと

オフラインとを活用して、消費者の好みを十分満たす幅広い品揃え、フ

ァッショントレンドの提供、低価格を実現しており、第2位のH&Mを脅かす

勢いがある」という評価がされています。

トップのNIKEは前年から評価額を下げているのに対し(マイナス12%)、

ZARAは前年から21%も上昇させており、現在アパレルの世界において

最も勢いのあるブランドの1つと言えるでしょう。

ちなみに同じランキングで、ファーストリテイリングが展開する「ユニ

クロ」は第9位と、前年の5位からランクを下げていました。

ブランド価値においてZARAの評価を一気に高めているインディテックス

ですが、業績面でも、この10年(2007年から2017年)で、売上高は3倍近く

(94億ユーロ⇒253億ユーロ)、利益(EBITDA=利払い前・税引き前・減価

償却前利益)はほぼ2.5倍(21億ユーロ⇒53億ユーロ)というように、急成長を

続けています。

「世界の小売業ランキング2018」(デトロイト調査、2016年度決算ベース)

では、前年の43位から5ランクアップし38位(売上高257億3400万ドル、

グループ純利益34億9000万ドル)になりました。

同じファストファッション分野では、H&Mは42位(売上高226億ドル、

グループ純利益21億9100万ドル)、ユニクロのファーストリテリングは

58位(売上高157億3900万ドル、グループ純利益4億7700万ドル)でした。

 

・出荷指示から48時間以内に、世界中の店舗に納品できる驚異の

     物流体制

 

現在、ZARAをはじめ8つのブランドを世界5大陸の7000超の店舗で展開

しながら、出荷指示からヨーロッパの店舗なら36時間以内、ヨーロッパ

以外の店舗でも48時間以内に商品を納品できる物流体制を構築したのが、

“Speed Logistics”製造小売業、インディテックスです。

 

まず売り上げですが、インディテックスは日本円換算でおよそ3兆3400

億円(2018年1月期)あります。それに対しユニクロはおよそ1兆8600億円

(2017年8月期)で、2倍近くの差があります。

 

次に粗利率です。インディテックスの56.28%に対し、ユニクロは

48.83%と、約8%の開きがあります。

販管費率は35.30%、ユニクロは38.95%です。

その結果、インディテックスの営業利益率は17.03%となり、ユニクロは

9.47%とは2倍近い収益性の差になっています。

第2章でも取り上げましたが、収益性でほかの国内企業を圧倒するニトリ

でも16.72%ですから、インディテックスはそれをも上回る高い収益性を

確保しているということです。

 

そして最後に在庫回転数ですが、原価ベースでの計算で4.13回転あります。

ユニクロはというと3.29回転にとどまっており、“Speed Logistics”を旨と

するインディテックスが、いかにムダな在庫を抱えずに販売機会につな

げているかがよくわかると思います。

 

 

 

この続きは、次回に。

 

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