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Coffee Blake-令和3年3月29日(月)「2021.1.7 社説」

日経新聞 「2021.1.7 社説」をご紹介致します。

 

2021.3.29

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

 


 

 

2021.1.7 社説

 

《ニューノーマルに挑む》

 

 

企業は3つの変革で成長の強化を

 

コロナ禍によって社会や経済の環境は大きく変わったが、日本企業が直面

する課題はコロナ以前と同じ成長力不足の克服だ。

2021年は企業や経営者が勇気を持って変革に踏み出し、ニューノーマルを

見据えつつ、成長の足場を築く1年にしたい。

 

DX推進などの急務

 

日本企業に対する成長期待の低さを映すのが、株価を1株当たり純資産で

割った株価純資産倍率(PBR)だ。

直近の時点で米国の上場企業の平均PBRは3.0倍、英国企業およびドイツ

企業の1.6倍に対し、日本企業は1.3倍と見劣りする。

米国企業は将来の成長を見込んで株価が帳簿上の資産価格(解散価格)の

3倍に達しているのに対し、日本企業は最近の株価を経てもなお株価と

解散価値があまり変わらない。会社が今後成長して株主価値が増えると

いう期待感が小さい、というのが現状である。

こんな状況を打ち破るために、企業は3つのトランスフォーメーション

(変革)を加速する必要がある。

 

1つはデジタルトランスフオーメーション( DX)だ。

 

タイヤ大手のブリジストンは中国勢による低価格構成で近年、利益率は

低下傾向にある。これを反転させる取り組みが「賢いタイヤ」の実現だ。

タイヤに各種のセンサーを取り付け、摩耗の度合いや空気圧を測ることで、

燃費改善の提案や計画的なタイヤ交換につなげる。

すでに航空機用タイヤで日本航空に対してサービスの提供を始め、今後は

陸運会社にも対象を広げる。

 

商品を売って終わりではなく、デジタルを介して顧客と持続的な関係を

結び、収益機会を広げる。石橋秀一最高経営責任者はDXを「新たな創業」と

位置づけ、人材育成や提携も加速する考えだ。

デジタルは汎用技術であり、あらゆる産業が受益者になり得る。

アウトドア衣料品のワークマンは全社員に表計算ソフト「エクセル」の

研修を実施し、データの山から隠れた売れ筋や新たな消費トレンドを発見

する感度を磨く。東京海上日動火災保険は台風や大雨による浸水被害で、

衛星の画像データなどをもとに水位を割り出し、早ければ被害当日に

保険金を支払うサービスを始める。

ITを業務の効率化に使うだけではもったいない。デジタル活用で顧客価値を

創造する取り組みが各企業で進めば、日本経済全体の底上げにも寄与する

だろう。

 

2つめの変革は人だ。

 

日本企業は働く人の同質性が一種の強みだったが、今後はダイバーシティー

(多様性)重視にカジを切る必要がある。異なる経験や知識基盤がぶつかる

中から新たな発想が生まれる。外部の企業や研究機関と連携するオープン

イノベーションの重要性もさらに高まるだろう。

その意味で注目されるのが副業解禁の動きだ。

ヤフーやライオンは自社の社員に副業を推奨すると同時に、外から副業

人材の受け入れにも積極的だ。ライオン幹部は「新規事業の立ち上げ手法

など、自社にないスキルを外から補充したい」と狙いを語る。

 

多様性重視がカギに

 

早稲田大学の入山章栄教授(経営学)が注目するキーワードがイントラ

パーソナル・ダイバーシティーだ。

「個人内多様性」と訳されることが多いが、要はいろいろな経験をした

人ほど新たな「知」を創造でき、ビジネスでも成功を収める確率が高まる

という。

一例を挙げれば、動画配信で急成長する米ネットフリックスの創業者、

リード・ヘイスティングス会長は若いころ、アフリカで数学教師を経験し、

その後、コンピューター科学の博士号を取り、さらに転じて今の会社を

立ち上げた。

日本の若い世代が人生のキャリア設計を考える上でも「個人内多様性」は

重要な概念になろう。

 

3つめの変革の軸はやはり環境だ。

 

化石資源に頼る今の社会をどう脱炭素化していくかは、今後数十年に

わたり人類が向き合う課題だ。

これを成長の足かせではなく、成長の機会と捉えたい。

日本電産の永守重信会長は「10年以内に電気自動車(EV)のコストはガソ

リン車の5分の1になる」として、EV用モーター市場で主導権を握る構想を

描く。

環境変化を追い風にして、成長軌道を切り開く。

そんなしたたかさとたくましさを併せ持つ企業や経営者の登場を期待したい。

 


 

少しでも、ご参考になれば幸いです。

 

2021.3.29

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

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