Coffee Blake-令和3年7月6日(火)「早稲田会議」⑦
Roundtable E-1
人生100年時代の企業と従業員
ウォンテッドリー社長CEO/仲 暁子、医療法人鉄蕉会 亀田総合病院理事長/亀田 隆明、
キッコーマン社長CEO/堀切 功章、セブン銀行会長/二子石 謙輔、
豊田通商会長/加留部 淳、ユニ・チャーム社長/高原 豪久、
吉野家ホールディングス社長/河村 泰貴、ワーク・ライフバランス社長/小室 淑恵、
早稲田大学ビジネススクール教授/大滝 令嗣、
キャリアの権利を個人の手に
新型コロナ禍は企業と個人の関係に多くの変化をもたらした。
最も大きな産物は「自立と信頼」だ。リモートワークの拡大で個人だけ
でなく企業も自立した。これまで社内で部署単位に運営・管理されてきた
業務の多くが、物理的な管理下を離れた場所で個人の手に委ねられた。
日本企業は個を前面に出さずチームで業務を推進させることで責任を分散
するスタイルを主流としてきたが、リモートワークではあらゆる部門で
役割や責任を明確化して任せ、それがお互いの自立心を芽生えさせ、
新たな信頼関係が生まれている。
この経験は個人を強くし、自らのキャリア形成を描くきっかけとなった
はずだ。これまで企業に所属する大半の人は会社の都合でキャリアは
決まるものだという風潮に流されてきた。学校もブランド力ある企業へと
学生を誘導し、誰かが用意したレールの上を画一的に歩くことが常識化
してきた。しかし、リモートワークで家族と共に過ごす時間が増え、少子化や
高齢化といった社会課題を働き方の視点で見つめ直す機会ができた。
また、新型コロナ禍で急速に進んだ働き方改革は、個人に地方移住や
2拠点生活、ワーケーションなどを経験させ、人生の拠点や地域の未来に
ついて考える機会を与えた。「生き方やキャリアは自ら選択できる」と
いう期待感が高まった意義は大きい。
人生100年時代を人々が幸せに生きるためにも、キャリアの権利は個人の
手にあるべきだ。人生は企業のためにあるのではなく、自分の能力を社会に
生かし続けるためにある。社会の進化もそれが原動力だ。
いま企業にとって個性を生かすことが成長やイノベーション創出のカギを
握る経営戦略であり、それを実現するために多くの企業がジョブ型雇用を
採り入れ始めている。個人は自ら得意とする、あるいは学びたい専門分野で
スキルを磨き、年齢や性別に捕われることなくプロフェッショナルとして
キャリアを積んでいくことができる。
企業リーダーたちの今後の生き方も重要だ。100年の人生の後半には、
SDGsや地方創生など社会の課題に若者たちと一緒に取り組んだり、趣味に
勤しむなど、多彩な生き方が選択できることを示さなければならない。
100年の人生を、生き生きと社会と関わり続けることができる社会を、
我々が今から構築するのだ。
● 画一的(かくいつてき)
「画一的」の意味は個性や特色がないこと。つまり「画一的」は、物事の
範囲が一つだけで個性や特色がないことをいう意味です。2019/09/11
● ワーケーション
ワーケーション(英語:Workation)とは、「ワーク」(労働)と
観光地やリゾート地でテレワーク(リモートワーク)を活用し、働き
ながら休暇をとる過ごし方。
働き方改革と新型コロナウイルス感染症の流行に伴う「新しい日常」の
奨励の一環として位置づけられる。
● 人生100年時代
人生100年時代(じんせいひゃくねんじだい)とは、ロンドン・ビジネス・
スクール教授のリンダ・グラットンとアンドリュー・スコット(英語版)が
『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)で
提唱した言葉[1]。
世界で長寿化が急激に進み、先進国では2007年生まれの2人に1人が100歳を
超えて生きる「人生100年時代」が到来すると予測し、これまでとは異なる
新しい人生設計の必要性を説いている。
日本では本の発売と同時期に小泉進次郎が使用したことで広く浸透した。[2][3]
2017年9月には首相官邸に安倍首相を議長とする「人生100年時代構想会議」が
設置され、2018年6月には「人づくり革命 基本構想」が発表されるなど
政策への反映が進められている。
● プロフェッショナル
プロフェッショナルとは、一言で表すならば、「高度な知識と技術によって
クライアントの依頼事項を適えるインディペンデントな職業」と定義する
ことができる。
● インディペンデント
独立したもの。自立したもの。
この続きは、次回に。