田中角栄「上司の心得」2-②
気の利いた言葉は不要
一方で、「角栄節」として、圧倒的説得力を見せつけた田中角栄は、
例えば自分が忙しく田中派議員などの応援演説に行けない場合、
名代で出かける秘書に、こうクギを刺していた。
「いいか、分かったようなことを言うな。気の利いたようなことは言うな。
そんなものは、聞いている者は一発で見抜く。借りものでない〝自分の
言葉〟で、全力で話してこい。これに優るものはない。そうすれば、初めて
人は聞く耳を持ってくれる」まさに、説得術の極意ということになる。
上司が部下を活かし、育てる極意とも言える。
「論語読みの論語知らず」が通用するほど、世の中は甘くないのである。
● 名代(みょうだい)
ある人の代わりを務めること。また、その人。代理。
「父の名代として出席する」
● 極意
学問や技芸などで、核心となる大切な事柄。奥義。
「極意を授かる」「極意を会得する」
● 論語読みの論語知らず
書物を読んではいても、その精神を十分理解できず、
実生活に生かせないことのたとえ。
この続きは、次回に。