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Coffee Blake-令和3年8月14日(土) 「高年齢者の就業と課題」

2021.8.10 日経新聞 「やさしい経済学 高年齢者の就業と課題⑦」の

記事について、感想と私見を述べたいと思います。

 

2021.8.14

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

 


 

やさしい経済学

高年齢者の就業と課題⑦

 

       立正大学教授 戎野 淑子

 

高年齢者の就業能力が問題視されることがあります。

多くの高年齢者は他の世代に比べ、豊かな経験や広い人脈など貴重な

能力を持っています。しかし、仕事内容や業務遂行方法などは日々変化し、

求められる能力も変わります。

業務委託が進んだことで販売能力よりも管理能力が、また技術の導入に

よって事務能力よりも営業能力が、より重視されるようになった業務も

あります。

新型コロナウイルス感染症の拡大で、対面が当たり前で会った会議や営業も

オンライン化が進みました。新たな方法での業務遂行能力が必要になり、

働き方も変化しています。

 

高まる能力開発の重要性

 

高年齢者自身も自らの能力に不安を感じ、能力向上を図らないと就業が

難しいと思っている人は少なくありません。

しばらくその仕事から離れていて勘が鈍っている、業務変化を十分に理解

していない、新技術への対応が必要、といったことが理由です。

しかし、実際に自ら能力開発を行っている人は、残念ながらあまり多く

ありません。大きな原因は、具体的に何を、どのように学んだらよいのか

わからないことです。

これは、前回述べた高年齢者の仕事や役割が不明確であるという問題とも

関係します。仕事内容が明らかでないと、何を準備すべきかがわかりません。

また、企業が仕事などを明示する場合でも、多くは定年直前であって

準備期間がほとんどありません。

就業人生が長くなることで能力開発はより必要になっています。

業務引き継ぎにタブレット端末を使うようになった介護事業所では、

その使用スキルが必須となりました。

80歳代のスタッフも研修で使いこなせるようになり、伝達が記憶に頼る

より安心できると好評でした。高年齢者が成長する姿は周囲に刺激を与え、

皆が自己研さんに励むようになっています。

中高年に対する教育には消極的な企業もありますが、年齢にかかわらず

成長すれば、周囲を巻き込んだ発展につながります。

地方自治体も高年齢者の就業能力向上に取り組んでおり、茨城県取手市では、

オンライン会議の研修を実施し、高年齢者からも好評です。

 


 

✔  求められる能力とは、

 

①  販売能力よりも管理能力が必要

②  事務能力よりも営業能力が必要

③  能力向上を図らないと難しいと思っている

④  高年齢者自身も自らの能力に不安を感じ、能力向上を図らないと

   就業が難しいと思っている。

   要因は、

  ● しばらくその仕事から離れていて勘が鈍っている、

  ● 業務変化を十分に理解していない、

  ● 新技術への対応が必要、

⑤  実際に自ら能力開発を行っている人は、残念ながらあまり多くない。

       大きな原因は、具体的に何を、どのように学んだらよいのかわから

       ない。

⑥  高年齢者の仕事や役割が不明確である。

⑦  企業が仕事などを明示する場合でも、多くは定年直前であって準備

    期間がほとんどない。

⑧   就業人生が長くなることで、能力開発はより必要になっている。

 

✔ 高年齢者就業メリット

 

① 高年齢者が成長する姿は周囲に刺激を与え、皆が自己研さんに励む

  ようになっている。

② 年齢にかかわらず成長すれば、周囲を巻き込んだ発展につながる。

 

✔  高年齢者就業デメリット

 

①  中高年に対する教育には、消極的な企業もある。

 

< 私見 >

 

私は、「定年制を70歳まで延長」や「人手不足対策として、高齢者の

就業機会促進」、「年金2000万円問題」や「年金繰り下げ」等々は、

一種の「政府の政策課題の先送り」ではないかと思います。

しかし、「高年齢者でも、働けるうち働きたい」と思っている人は、

非常に多いと思います。また、違った見方をしますと、欧米諸国とは

違い、「年金での悠々自適生活をエンジョイできない」のは、国民性にも

関係があるのではないでしょうか。

 

—インターネットより、抜粋—-

 

● 70歳まで働けるのは喜ばしいこと?

 

4月から「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下、改正高齢者

雇用安定法)が施行され、70歳まで従業員の雇用確保を図ることが事業主の

“努力義務”となった。

高齢者の現状を見れば、若者の“暗い将来”が浮き彫りになる。

事業主に義務化されていた従業員の65歳までの雇用について、今回の改正

高齢者雇用安定法で「70歳までの定年引き上げ」「定年制の廃止」

「70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」

「70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度」「社会貢献事業に

従事できる制度の導入」の、いずれかを講じる「高年齢者就業確保措置」が

努力義務となった。

確かに高齢者の活用が進むこと、70歳まで働けることは喜ばしいとの

受け止め方もあるだろう。しかし、高齢者雇用の現状を見ると、別の

姿が浮き上がってくる。

厚生労働省「2020年の高齢者の雇用状況」(2020年6月1日現在)を

見ると、65歳までの雇用確保措置のある企業は99.9%に上る。66歳以上が

働ける制度のある企業は33.4%、70歳以上働ける制度のある企業は

31.5%と、徐々に高齢者雇用の取り組みが進んでいるように見える。

しかし、定年制廃止企業はわずかに2.7%で、65歳を定年としている企業は

18.4%と2割に満たない。つまり、60歳で定年を迎え、その後の65歳までの

雇用は“再雇用制度”もしくは“勤務延長制度”となっている企業が8割を

超えるのが実態だ。

 

● 老後2000万円問題とは、

 

金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書によって、

「老後の30年間で約2,000万円が不足する」と発表されたことが話題に

なった問題のことです。2021/06/18

 

● 年金繰下げ受給を選んだ場合、

 

65歳から何か月遅らせたかによって年金が増額されます。 増額率は1ヶ月

遅らせるごとに0.7%となっています。 最短の1年間繰り下げた場合は、

0.7%×12ヵ月=8.4%増、70歳まで繰下げれば0.7%×60ヵ月=42%増と

いう計算になります。2020/01/24

 

例えば、これまで会社員として、給与から天引きされた年金額を年金受給

対象者になった時に最低でも同額を受給できないというのは、問題外です。

私が若い時は、厚生省(当時)が年金額の運用目的でいろいろな施設(保養所

等々)を全国に建設しておりました。しかし、運用収支が大幅な赤字と

なり、結局は〝二束三文〟で民間等に売却したというニュースを聞いた

ことがあります。結局、政府の誤った政策や運用赤字の結果が、支払って

いる我々に〝減額〟もしくは〝将来、もらえるかどうかわからない〟と

いう不満や不安材料となっています。その当時から、数十年が経っている

現在、いろいろな改善策はあったのではないでしょうか。

また、「公的年金の運用実績が過去最大の黒字であった」というニュースも

耳にしています。

 

–令和3年7月3日—

 

公的年金運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2日、

2020年度の運用実績を発表した。 37兆7986億円の黒字で、黒字幅は

最大だった。 年度の運用成績が黒字になるのは2年ぶり。2021/07/03

 

この黒字分は、どのように運用、補填されるのでしょうか。

私たちも、もう少し、〝突っ込んで考えるべき〟課題だと思います。

 

それでは、テーマである「高年齢者の就業と課題」について、私見を

述べさせていただきます。

基本は、〝やる気のある高年齢者〟には、積極的に「就業支援」と

「課題克服支援」をお願いしたいと思います。

 

「就業支援」と「課題克服支援」

 

①  健康であること-生活習慣病や認知症等々の持病のある方は、医師の

   診断書が必要等々。

② 「管理能力」や「営業能力」に特化したカリキュラムを作成、受講

   可能であること。

③  若い方たちとの「コミュニケーション力」強化を推進すること。

④  高年齢者の仕事や役割を明確にする。

   業種・職種を明確にして、ハローワークとの連携をとる。

⑤  ハローワークの「能力開発プログラム」受講を支援する。

  受講料無料化や受講期間中の生活・旅費支援金の配布等々。

 

私は、〝バランスのよい食事〟〝運動習慣〟が高年齢者には、必要だと

思っています。しかし、私を含めて、〝分かってはいるが、実行できない〟

というのが本音かもしれません。

従って、高年齢者への〝就業支援と課題克服支援〟が、〝バランスのよい

食事〟〝運動習慣〟に結びつけられれば、一つの〝解決策〟となるのでは

ないでしょうか。

決して、毎日、高級食材で食事をしなさいとか、毎日、5kmランニングを

しなさいとは、申しません。

 

一つ目標を立て、その目標を達成するために少し働き、頭脳を少し使い、

適度に体を動かし、少しでも収入を得ることで、社会における存在価値が

認識できれば、それで良いのではないでしょうか。

 

最後に、〝認知症予防〟について。

 

認知症の原因となる病気によって予防の方法は異なります。

たとえば、血管性認知症については、脳血管障害の原因となる生活習慣病

予防するような“よい生活習慣”(バランスのよい食事や運動習慣)が大切です。

さらに近年、“よい生活習慣”を身につけることは、血管性認知症ばかり

でなく、もっとも多い認知症の原因であるアルツハイマー病の予防にも

有用であることが示唆されています。したがって“よい生活習慣”を身に

つけることはおすすめです。

 

 

2021.8.14

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

 

 

 

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