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実践するドラッカー[思考編] ①

Lesson From P.F.Drucker

             a way of self-de veiopment

 

実践するドラッカー[思考編]

 

         上田 惇生[監修] 佐藤 等[編著]    

 

まえがき

 

成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。

いくつかの習慣的な姿勢と基礎的な方法を身につけているかどうかの

問題である。

 

『非営利組織の経営』—-p.216


 

すべての仕事に原理がある、とドラッカー教授はいいます。

仕事の原理を見極め、目的に向かって、それに適した道具を、的確な方法で

使いこなしていく。

成果をあげる人はみな、こうした習慣が身についています。

目的を知らなければ、いくら方法を極めたところで、目標とする地点に

たどり着くことはできません。

方法だけを学んでも、特定の出来事にしか対応できませんし、無数に方法を

覚えることは不可能です。

ですので、ドラッカー教授はハウツー本を一冊も出していません。

そうではなく、背後にある原理をえぐり出してくれるのである。

私たちも、仕事においてプロフェッショナルを目指すならば、なぜ組織は

動くのか、なぜ人は動くのかといった、原理を知っておく必要があります。

ただし、そこに実践が伴わなければ、すべては意味のないものとなります。

ドラッカー教授は常々、「実践の裏づけのない論理は、へりくつである」と

おっしゃっていました。机上でモデルをこねくりまわすのではなく、自身で

見聞きした事実をコンセプト化し、マネジメントという体系をつくり上げ

ました。だからこそ、その言葉は真理を突いていて、誰もが、まるで自分の

ために話してくれたと思える普遍性があるのです。

セルフマネジメント」から「組織のマネジメント」まで、教授がつくり

上げた体系は壮大なものですが、本書では、自分一人で始めることの

できる「セルフマネジメント」に焦点を当てました。

セルフマネジメントの核は、「知識労働者」が、いかに「成長」し続け

られるか、です。

そのためには、「思考」、どのような「行動」が必要なのか。

そこで本書『実践するドラッカー』を「思考編」「行動編」の二冊に

分け、成果をあげるために身につけるべき能力と、心すべきポイントを

整理しました(図参照)。

なお本書では、ドラッカー教授の言葉と、理解のヒントを添えています。

これは、各地で開催中の「ドラッカー読書会」(「編著書あとがき」参照)

での筆者の発言を中心に再構成したものです。

 

        佐藤 等

 

● 普遍性

 

すべての物事に通じる性質。また、すべての物事に適合する性質。

「普遍性のない理論」

 

● セルフマネジメント

 

セルフマネジメント(self-management)とは、直訳すると「自己管理」と

なります。管理とは、一定の状態を維持させ、さらに良い方向へ発展させて

いくことです。つまりセルフマネジメントとは、自分の精神状態や健康状態

を安定させ、より良い状態になるよう改善を図っていくことといえます。

 

● 知識労働者

 

ナレッジワーカーとは、ナレッジ(知識)とワーカー(労働者)を組み合わせた

造語です企業に対して、知識による新たな付加価値を生み出す労働者、

「知識労働者」のことを指します。

肉体労働やモノづくりのための単純労働に対する概念で、形のない知的

生産物を生み出す労働者と定義されています。

20世紀に活躍した社会学者・経済学者として知られるピーター・ドラッ

カーが、1960年の著書『新しい現実』の中で提唱しました。

 

● 思考

 

1. 考えること。経験や知識をもとにあれこれと頭を働かせること。

  「思考を巡らす」「思考力が鈍る」

2. 哲学で、広義には、人間の知的精神作用の総称。狭義には、感覚や

    表象の内容を概念化し、判断し、推理する知性の働きをいう。

3. 心理学で、感覚や表象の内容を概念化し、判断し、推理する心の働きや

     機能をいう。

 

● 行動

 

 あることを目的として、実際に何かをすること。行い。

「具体的な行動を起こす」「行動を共にする」

「自分で考えて行動する」「行動力」

 

 

この続きは、次回に。

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