実践するドラッカー[思考編] ⑨
Chapter2∵ 成長するために
A lesson from P.F.Drucker
∵ 成長とは、自己責任
自らを成果をあげる存在にできるのは、自らだけである。(中略)
したがってまず果たすべき責任は、自らのために最高のものを引き出す
ことである。人は、自らが持つものでしか仕事はできない。
『非営利組織の経営』—–p.208
成長とは、自己実現を追求し続けることです。
そこにゴールはありません。到達したと思った瞬間に、成長は止まって
しまいます。
例えるならば、はるか遠くのゴールに向かって、目標というハードルを
一つひとつクリアしながら進んでいくイメージです。
いまの目標に挑戦しつつ、次の目標に備えて足りない部分を鍛えていけば、
やがて一日に進める距離が伸びていきます。
時には予想外のアクシデントや、自分自身のやる気のムラに悩まされる
こともあるでしょう。しかし、これは誰のためでもなく自分のため。
成長を目指すという強い覚悟をもちましょう。特に、組織に属する人は、
毎日の忙しさの中で流されてしまうので要注意です。
組織が用意してくれた人材育成プログラムに乗っているだけでは、何も
身につきません。そのうえで「成果をあげる存在」になるには、以下の
二つを意識する必要があります。
● いまの自分が持っているものを最大限に引き出すこと
● さらに成果をあげるためには何を身につけなければならないかを問い、
それを習得すること
そうして仕事に責任を果たせたとき、成果とともに次の成長機会が訪れる
のです。
A lesson from P.F.Drucker
∵ 自己開発の本質
自己開発とは、スキルを習得するだけでなく、人間として大きくなることで
ある。おまけに、責任に焦点を合わせるとき、人は自らについてより大きな
見方をするようになる。うぬぼれやプライドではない。
誇りと自信である。一度身につけてしまえば失うことのない何かである。
目指すべきは、外なる成長であり、内なる成長である。
『非営利組織の経営』—p.211
自己開発には、二つの種類があります。
第一に、業務知識や技能、成果をあげる能力やマネジメント能力などを
修得する「外なる成長」があります。
第二に、人間として大きくなる「内なる成長」があります。
いわゆる人間の器であり、心揺れる状況でもビクともしない信念、人や
物事を受け入れる度量、バランス感覚などが挙げられます。
「外なる成長」も「内なる成長」も、仕事を通して習得できるものです
から、仕事の責任から逃れようとしてはなりません。
お客様に対する責任、ともに働く者に対する責任、託されたお金に対する
責任—-責任にはいろいろありますが、どれも人間の器を鍛え、成長させて
くれるのです。
責任は、自分の基準で測るものではありません。
ミッション、つまり組織の社会的な役割に導かれた基準を満たして初めて、
人は周囲から認められ、真の誇りや自信の源を得るのです。
最初から責任を避けようとするのは論外にしても、手間を惜しんだり、
目先の損を恐れて小さくまとめようとしたりしていては、いつまで経っても
大きな果実を得ることはないでしょう。
乗り越える壁が高ければ高いほど、得られる充足感も成果も大きいもの
です。苦労の先には、それだけ大きな「何か」が待っています。
この続きは、次回に。