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実践するドラッカー[思考編] ㊶

A lesson from P.F.Drucker

 

∵真の優先順位の決め方

 

現在集中して取り組んでいる仕事以外のものにコミットしてはならない。

現在の仕事を終わらせた後、改めて状況を検討し、優先すべき次の仕事を

選ばなければならない。

『経営者の条件』—-p.152


 

優先順位という、「ToDoリスト」を思い浮かべる人も多いと思います。

今日やるべきことを一覧に並べて、優先順位の目安としてA、B、Cなどと

ランクづけします。

一般的に、優先順位の高いものから順に行い、残ったものを翌日に回す

ような使い方をします。

こうした行動が習慣になっていると、集中して取り組むべき重要な課題に

ついても、同じように考えてしまいがちです。しかし、それは間違いです。

一日のリストであれば優先順位が大きく変わることは、そうそうありません。

しかし、集中のマネジメントで取り上げるような、長期にわたって取り

組むべき重要な課題については、優先順位の状況が数か月で大きく変わる

ことがあります。ですから、一番重要なものが終わった段階で、もう一度

優先順位を確認し直してください。改めて優先順位の一番を決めてから、

集中して取り組むようにしましょう。

 

● コミット

 

コミットとは、英語の「Commitment(コミットメント)」を略した

言葉です。 

コミットメントは「約束」「責任」「(真剣な)関わり」という意味です。

つまり、「結果にコミットする」というフレーズの意味は、「結果を

約束する」「結果に責任を持つ」というようなニュアンスとなります。

2018/09/11

 

● ToDoリスト

 

things-to-do list. しなければならないことのリスト、やることリスト

My mounting to-do [things-to-do] list never seems to get shorter. :

私のやることリストは長くなるばかりで、短くなりそうにない。

 

 

コラム 優先順位は変わる

 

映画の代名詞ハリウッドは、一九二○年代〜五○年代前半の最盛期を経て、

テレビに主役の座を譲りました。

マーケティング学者のセオドア・レビットは、一九六○年に発表した論文

「マーケティング近視眼」(marketing myopia)の中で、ハリウッドの

「近視眼」ぶりが衰退を招いたと指摘しています。

当時の映画産業には、俳優、脚本家、制作スタッフなど映像に関わる

ノウハウが集結していました。彼らはテレビの登場を否定的にとらえ、

映画は地区別な産業だと自らを定義づけたのです。

もしこのとき、自らを「映像エンタテイメント産業」と位置づけ流ことが

できれば、状況は変わっていたはずです。蓄積された自らの強みを提供

する手段が、映画からテレビに変わるという認識であれば、新たな技術を

取り込んで時代の波に乗ることができたでしょう。

レビットはまた、鉄道産業がその後の多様な交通機関の発達に対応でき

なかった原因も同じところにあると指摘しています。

こうした例は、枚挙にいとまがありません。ですから、もしいま、何か

問題が起きているならば、それを問題ととらえるだけでなく、機会として

考えて見れば、違う可能性が拓けることもあるのです。

足元から視線を上げ、「過去ではなく未来」「問題ではなく機会」「横

並びではなく独自性」「無難で容易なものではなく変革」といった基準を

適用して優先順位を決め、新しい明日をつくり出してください。

 

実践シート⑱

 

惰性や付き合いで続けている重要度の低い活動、生産性が低い活動は

何ですか。

 

—hint—-

 

■ 毎年、毎月など惰性で行っていることで、いまやめても支障のないもの

■ 生産性がゼロのものではなく、下位にくるものを挙げる

 

実践シート⑲

 

あなたが廃棄しようと思う活動は何ですか。

 

—hint—-

 

■ 劣後順位リストを作成し、下位を廃棄する(p.234)

■ もう一度まっさらな状態で意思決定できるとしたら、「それらの活動を

 始めるか」を問う

 

実践シート⑳

 

優先順位のリストを作成し、いま、集中すべき分野に丸を付けてください。

 

—hint—-

 

■ 短期の「ToDoリスト」ではなく、3か月から1年、時に3年以上のスパンで

 成し遂げるべき重要なものから挙げる(p.236)

 

 

 

この続きは、次回に。

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