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実践するドラッカー[行動編] ④

A lesson from P.F.Drucker

 

∵記録は当てにならない

 

知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の時間の使い方を記録

することである。

『経営者の条件』—-p.57


 

時は金なり。しかし、時間はお金ほどには大切に管理されていないのが

現実です。金の入りと出には、人は敏感です。

年収が減れば、当然のように節約するでしょう。

時間の入りと出に無頓着でいられるのは、今日時間を浪費しようが、

明日にはまた同じだけ、しかも懐を痛めることもなく手に入るからでは

ないでしょうか。

しかし、光陰矢のごとし。人生の総時間を考えると、本当は、時間は無尽蔵

ではありません。ですから、時間の出、つまり、使い方の質が成果を左右

するのです。

質を判断するには、実際に時間をどう使っているか、記録してみなければ

わかりません。人間の記憶ほど当てにならないものはないからです。

大切な顧客に時間を使っていると思い込んでいたある会社の会長は、記録を

とって初めて、それが都合のよい記憶にすぎなかったことがわかりました。

昨日何をしていたのか、分単位で思い出せる人はまずいません。

だからこそ、記録しなければならないのです。

記録がなければ、いくら理想の時間の使い方を考えても机上の空論です。

記録こそ、時間管理の第一歩です。

それでは、これから二週間、時間の使い方を記録することから始めましょう。

思い立ったが吉日です。

 

● 時は金なり

 

時は金なり』とは、アメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンの

言葉『Time is money』の日本語訳です。

時間はお金と同様に貴重なものだから、決して無駄にしてはいけないと

いう戒め。

 

● 無頓着

 

少しも気にかけないこと。また、そのさま。「服装に無頓着な人」

 

● 光陰矢のごとし

 

月日の過ぎていくのは、飛ぶのように早い。

歳月のたつのが早いことのたとえ。

 

● 無尽蔵

 

いくら取ってもなくならないこと。また、そのさま。

「無尽蔵な(の)太陽エネルギー」

 

● 机上の空論

 

頭の中だけで考え出した、実際には役に立たない理論や考え。

[補説]「砂上の楼閣」との混同で、「砂上の空論」とするのは誤り。

 

● 思い立ったが吉日

 

何か事を始める時、吉日(縁起の良い日)を待っていたら機会を逃す

こともある。思い立った日を吉日とし、その日から始めるのが良いと

いうこと。

 

 

コラム 時間の使い方を記録する

 

あるグローバル企業のCEOは、ドラッカー教授の教えに沿って、まず自分の

時間の使い方を記録することから時間の管理を始めました。

約一か月の間、何にどれくらい時間を費やしたかを記録するよう秘書に

依頼したのです。

CEOという重責を全うするには、重要事項に時間を振り向けることが何より

重要であり、そのためにはまず、現実がどうであるかを客観的に把握する

必要があったからです。

あなたは朝起きてから夜眠りにつくまで、どこで、誰に対して、どんな

ことに、どれくらい時間をかけているでしょうか。

いまから二週間分、できるかぎり細かく書きとめることから始めましょう。

その際、次のポイントを忘れないよう、注意してください。

 

・目的は、仕事の廃棄、もしくは、人に任せる仕事を発見すること

・まずは、行動・活動をそのまま記述する(カテゴリー分けは後からでよい)

・仕事以外、土日や休日も含め、寝ている時間以外の全て記述する

・カテゴリー分けは、単に種類で分けるものではなく、目的を期して分類する

 

×  四月二日一九時〜二一時、食事

○ 四月二日一九時〜二一時、お客様との懇談(食事)

 

・どんな行動・活動も細かく、網羅的に書く。場合によっては一分刻みも記録する

 

時間の記録はたくさんの貴重な発見をもたらしてくれます。できれば、

こうした二週間の記録を年二回、定期的に行ってください。

 

● グローバル企業

 

グローバル企業」とは、設立国以外でビジネスを広げる企業のことを

指します。海外でビジネスを展開する企業体には、グローバル企業だけ

ではなく国際企業や多国籍企業と呼ばれるものもありますが、それぞれに

明確な違いがあります。

 

● 客観的

 

客観的」とは、特定の立場からモノを見たり考えたりするのではなく、

「第三者としてモノを見たり考えたりすること」を意味します。

「自分の思い」を直接意見に取り入れるのではなく、具体な数字や前例

などから、物事を考えることを「客観的」と言います。2019/09/27

 

● 網羅的

 

物事が幅広い範囲や分野などにわたっている様子。 

網羅している、などとも言う。

 

 

この続きは、次回に。

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