Coffee Blake-令和3年10月20日(水)「安心の設計-貧困」
–貧困—ひとり親家族へ支援急務
Q コロナ禍で貧困に苦しむ人のニュースが増えた気がするするけど?
A 新型コロナの感染拡大を防ぐため、旅行や外食などが制限された結果、
飲食業や宿泊業をはじめ、幅広い業種が打撃を受けた。
解雇や企業の倒産で仕事を失う人が増え、2020年の完全失業者数は前年より
29万人多い191万人となり、11年ぶりに増加に転じた。
失業には至らなくても、大幅な給与カットを余儀なくされた人もいる。
コロナ禍で収入が減少し、生活が苦しくなった人向けの国の貸し付け事業
(最大200万円)には申し込みが殺到。
今年10月2日までの申請件数は約292万件にのぼる。
「最後の砦」の生活保護の申請件数も高止まりしたままだ。
気になるのは、自殺者が20年は2万1081人と、11年ぶりに増加に転じた
ことだ。
女性や10代、20代の若者で特に増えた。命を絶つ理由は複合的で簡単には
説明できないが、貧困と無関係とは言えない。
例えば、失業をきっかけに重ねた借金がもとで、家族や親類との関係が
悪くなり、孤立感を深めたことが理由の人もいるだろう。
Q 特に支援が必要なのはどんな人なんだろう?
A コロナ禍で雇用や生活への影響が大きかったとされるのが女性だ。
パートやアルバイトといった非正規雇用で働く人はコロナ禍の20年に
約75万人も減ったが、その約7割が女性だった。
野村総研の推計では、勤務日数を大幅に減らされるなどして「実質的な
失業状態」にある女性は約92万人に上る。
母子世帯が約9割を占める「ひとり親家庭」への支援は急務だ。
所得が著しく少ない「相対的貧困」の状態にある家庭が半数(18年調査)を
占めている。コロナ禍で状況はさらに悪化しているとみられている。
親の貧困が子どもにつながる「貧困の連鎖」も懸念されている。
日本の母子世帯の就業率は8割を超えており、決して怠けているのでは
ない。頑張って働いても生活が厳しいのが実態で、社会的な問題とも
言える。
Q 誰もが安心して暮らせる社会にするため、衆院選で注目したいポイントは?
A セーフティーネットを巡る議論だ。低賃金で働いているなど社会的に
弱い立場の人ほど、いざという時のために蓄えるのが難しい。
コロナ禍の経済的影響がこれ以上長引くと持ちこたえられない。
具体的には、賃金の引き上げ、低所得者に対する住まいの支援だ。
生活の土台である住居を失うと、仕事を探すのも困難になる。
多くの人が経済的な危機を身近に感じたコロナ禍の選挙だからこそ、
議論を深める必要がある。(板垣茂良)
この続きは、次回に。