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「人を動かす人」になれ! ㊱

40.ハングリー精神を持った人材をどう見分けるか

 

経営とは判断することだといわれるが、そのなかで最もむずかしいのが

人間の判断、すなわち人を見分けることであろう。

たしかに、三○分も話をすれば相手の考え方、人柄、性格などおおよその

ことはわかる。しかし、それは決定打となるものではない。

たとえば、次のような場面を想定してみると話がわかりやすいと思う。

中途採用をするときに、二人の応募者が最終選考まで残った。

定員は一名。二人のこれまでのキャリア、人柄、そのほかの面でも甲乙を

つけがたい。だが、わが社にとって将来を左右する大事な部門や仕事を

任せていくことになるので、慎重に人選を行いたいといったようなケースだ。

わたしは、こんなときには二人を食事に誘う。

なぜなら、一緒に食事をしてみると、面接にはあらわれない、その人物を

大きく次の二つに分類する。

一つは、創業経営者タイプだ。

このタイプは、少なからず苦労を経験しているので、たとえ嫌いなもの

でも、出されたものは残さずに最後まで食べるし、食べるのも早い。

どちらかといえばガツガツとした感じで、音をたててスープを飲んだり、

マナーや上品さにもやや問題があることが多い。

もう一つは、二代目経営者タイプである。

こちらの方は、創業者タイプとは正反対で、あまり苦労もせずに甘やか

されて育ってきたため、好き嫌いが激しく、嫌いなものは平気で残す。

食べる順序も、自分の好きなものからハシをつけていく。

食事のマナーもきちんと守られ、充分に時間をかけて食事をするため、

食事中の会話もはずむ。

結果は、新卒者ならまだしも、中途採用に人材を求めるのであれば、

絶対に創業経営者タイプを選ぶべきである。

理由はハングリー精神。経済的な豊かさとは別の意味でもハングリー

精神があるかどうかは、今後さらなる急成長を遂げていきたいと考えて

いるわが社のような組織にとっては不可欠な資質となるからだ。

また、一般論でいってもハングリー精神の有無は、積極性や向上心、上昇志向、

そして忍耐力などにも関連してくる。

ただし、注意が必要なのは、ハングリーとプアーを混同してはならない

ということ。ハングリーには野草のようなたくましさがある。

しかし、プアーというのは、単に貧しい、特に精神面では貧困だという

ことである。このタイプは気持ちの切り替えがうまくできなかったり、

柔軟な発想ができず自分の考え方や主張に固執しすぎるといったことにも

結びついていく。

プアーな人物は多いが、ハングリーな人材は少ないというのが実感である。

 

● 甲乙をつけがたい

 

甲乙付けがたいとは、どちらが優れているか判断するのが難しいという

意味。 「甲乙(こうおつ)」は、中国古代思想の十干(じっかん)の

第一「甲(きのえ)」と第二「乙(きのと)」のことで、その昔は学校の

成績表など、評価やランキングの数字がわりに用いられた文字である。

 

● 向上心

 

「上に向かう心」という文字通り、「向上心」とは「高い目標を目指し

努力する心、成長しようとする心」のこと。

達成意欲とも言い換えられます。 これから社会人になり、スキルを身に

つけようとする学生の皆さんに、一定の向上心は必ず求められるものです。

2020/01/31

 

● 上昇志向

 

向上心やハングリー精神などを持って、より高い次元を目指そうとする

気持ちのこと。「上昇志向が強い」という場合、単に「向上心が強い」と

いうよりも、「権力欲や出世欲などが強い」といった意味でしばしば

使われることもある。

 

● 忍耐力

 

忍耐力とは、「忍んで耐える」のこと。 「忍ぶ」には「つらいことを

我慢し、黙ってじっとこらえる」意味があります。

そのため、「忍耐力がある」というアピールは「言いたいことがあっても

我慢して、理不尽や不条理に耐えることができる」「保身の道を選んだ」と

捉えられることもあります。2020/01/27

 

● 理不尽

 

道理をつくさないこと。道理に合わないこと。また、そのさま。

「―な要求」「―な扱い」

 

● 道理

 

1. 物事の正しいすじみち。また、人として行うべき正しい道。

    ことわり。「―をわきまえる」「―に外れた行為」

2. すじが通っていること。正論であること。また、そのさま。

   「言われてみれば―な話」

 

● 不条理

 

 筋道が通らないこと。道理に合わないこと。また、そのさま。「―な話」

 

● プアー(poor)

 

 貧しい。 貧弱である。

 

 

この続きは、次回に。

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