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「人を動かす人」になれ! ㊿+7

60.叱ることより皮肉というスパイスを効かせたユーモアは効果的

 

以前は社員、特に幹部社員をことあるごとに叱り倒していたわたしだが、

最近はあまり叱らなくなってきた。しかし、叱ることを放棄したのではない。

ガンガン怒鳴りつけるよりももっと効果的な方法を見つけ出したからである。

それは、皮肉というスパイスをたっぷり効かせたユーモアを利用すること

である。もちろん、これは誰に対してでも使える方法ではない。

気心も知れ、信頼関係が成り立っていることが前提となるが、それさえ

あれば抜群の効果を発揮する。

つい最近ではこんなことがあった。経営会議の席でのことだ。

いつも威勢がよくて、わたし自身が「そこまでやってくれるのか」と感心

するような計画を持ってくる、ある経営幹部が、新しい事業計画を発表した。

彼の話の内容には説得力もあるし、迫力もある。

ところが、これまでその計画通りにいったためしがなく、未達が当たり

前という雰囲気になっていた。

その日も彼は、事業計画のコンセプト、社内体制、スケジュール、そして

予算の順にとうとうと説明した。そして、席に着こうとした瞬間にわたしは、

「すばらしい計画を立ててくれたプレゼントだ」といって、一つのお菓子を

彼の前に置いた。「えっ」という表情で、わたしを見つめている彼に、

「昨日、鳥取に出張したときに、地元の銀行の人にもらったお菓子だから、

遠慮しないで食べたらいい」と続けた。

お菓子を手にとって、シーンと静まり返ったなかで「大風呂敷というん

ですか、このお菓子」と彼がつぶやいた途端に会議室は大爆笑に包まれた。

実際に、中身は小さな包装紙だけがやたら大きな「大風呂敷」という名前の

お菓子が鳥取にあるのだ。

かつてのわたしなら、「そんな最初からできないとわかっている計画を

立てて!」と怒鳴りつけていたに違いない。だが、いくら注意はしていても、

怒鳴り出すとどうしても感情が入ってしまいがちになる。

最近はそれではあまりにも大人げないと思うようになってきた。

また、皮肉たっぷりのユーモアであれば、相手も「ドキッ」とするが、

それほど深刻にならなくて済む。

「大風呂敷」の場合は、たまたま格好の小道具があったので計画的にことを

運べたが、普通はこんな手のこんだことはやらない。たいていは、ひら

めきかアドリブで幹部の心に揺すぶりをかけている。

 

● 事業計画

 

事業計画とは、自分の事業の目標を実現するための具体的な行動を示す

計画で、1年から5年後の目標や戦略・戦術等を描いたものを言います。

 

● コンセプト(concept)


コンセプトとは、「概念」や「観念」を表す言葉です。

貫く基本的構想という意味で使うことが多いです。

コンセプトは単なる「目的」ではなく、終始一貫してブレることのない

基本的な方向性を意味します。

コンセプトは、物事に取り組む際の姿勢・方針・思想を表します。

 

● アドリブ

 

ラテン語のアド・リビトゥムad libitum(思うままに,自由に)の略。

ジャズではインプロバイズimproviseと同じ意味に使い,演奏者が原曲の

和音進行にもとづいて即興的に演奏をつくり出すこと。

演劇では,台本にないせりふ・身振りを即興で演じること。

 

 

この続きは、次回に。

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