お問い合せ

「人を動かす人」になれ! ㊿+12

65.「一流への道は大きな苦痛が伴う」という原理原則を教え込め。

 

オリンピックのメダリストであるマラソンランナーにお会いする機会が

あった。そのときに、「四二キロ余りの長い距離を苦もなくよく走れ

ますね」と質問してみた。すると意外な返事が返ってきた。

「いやいや、そうではないんです。長い距離を走るにはものすごい苦痛が

伴います。だから、次の交差点まで行ったらやめよう、前に見えている

あの建物のところまで行ったらやめようと、何十回、何百回となく自分

にいい聞かせながら走り続けているのです。振り返ってみると、途中で

やめなかったこと。これが他のランナーより早くゴールインできた原因

です」

これは少し前のことだが、たまたまテレビをつけたときに、あるベテランの

プロゴルファーがこんな話をしていた。

「よくアマチュアの人から、『プロはいいですね。こんな楽しいゴルフが

毎日やれて。しかもお金がもらえるのだから—–』といわれることが

あります。これは、大きな勘違いで、月に一回とか二ヵ月に一回、みんなで

ワイワイいいながらやるからゴルフは楽しいのです。

それが毎日になって、一打一打のショットに神経をすり減らしていれば、

楽しいどころか苦痛の連続です。それでも、前のホールのミスを次の

ホールで取り返してやろう、前のホールでうまくいったから次のホール

でもうまくやろうと、繰り返し挑戦できるから三日間のトーナメントが

戦えるのです」

わたしはマラソンをやったことはないし、ゴルフも好きではない。

しかし、この二人の話には共感できるし、共鳴もする。

なぜなら、わたしは仕事をしながら、これとまったく同じ思いをして、

同じことを考えてきたからだ。

若い社員のなかには、「これは自分のやりたいことと違うからやる気が

起きない」とか、「これはつまらない仕事だから力が入らない。もっと

大きな仕事をやらせてくれれば、本当の力が出せる」と不平をもらす人も

多い。だが、二人のプロフェッショナルの言葉を引き合いに出すまでも

なく、何をやっても一流への道には大きな苦痛が伴うものだ。

若い社員には、まずこうした原理原則をしっかり叩き込んでいくところ

からはじめることが肝要である。マラソンランナーが一歩一歩着実に歩を

進めるように、今日一日をきっちりと過ごす。

明日になれば明日の務めに取り組む。

それがなければ、絶対にゴールは見えてこない、と—–。

 

● 共感

 

他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。また、その気持ち。

「―を覚える」「―を呼ぶ」「彼の主張に―する

 

● 共鳴

 

 他人の考えや行動などに心から同感すること。「主義に―する」

 

● 同感

 

同じように感じること。その意見や考えに賛成であること。

また、そのような意見や考え。「私も―だ」「彼の説に―する」

 

● 肝要

 

《人間の肝 (きも) と扇の要 (かなめ) の意から》非常に大切なこと。

最も必要なこと。また、そのさま。「何事にも辛抱が―だ」

 

 

この続きは、次回に。

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