お問い合せ

「人を動かす人」になれ! ㊿+35

90.我流、個人のスタンドプレーを戒めよ

 

わが社を創業して、創業メンバーであるわたしたち四人が最初にやった

仕事が『経営三原則』の策定であったことは先にお話しした。

つまり、会社の原理原則を定めたわけだが、その後にわたしがとった行動は、

まったく社会の原理原則を無視したものであった。

世間知らずにも、いや世間知らずだからできたと思うのだが、わたしは

この『経営三原則』を持ってある銀行を訪れ、支店長に「こういう方針で、

こういう会社を設立した。ついては融資をお願いしたい」と直談判に

及んだのである。もちろん、色よい返事などもらえるはずがない。

それでもあまりにもしつこく食い下がるものだから、支店長はあきらめ

させるために「わたしはお貸ししたいのですが、本店がウンといって

くれないんです」と引導をわたす。それを聞いたわたしは、またまた常識

はずれの行動に出る。なぜ、ウンといってくれないのかを確認するために、

その足で本店に向かったのだ。

まさに常道を外れた行動だが、急成長を遂げた先輩経営者に話を伺っても、

ベンチャー企業の経営者の書いた本を読んでも、ときとして原理原則を

無視した、あるいは自分勝手な思い込みで物事に対処して、恥をかいた

というような話はいくつも転がっている。むしろ、そうした無軌道さが

急成長の原動力ともなっていることが多い。しかし、これも会社が小さい

うちは目をつぶってもらえるかも知れないが、規模が大きくなるのに比例

して許されなくなる範疇が拡大し、社内的には組織や仕事を混乱に陥れる

要因ともなってくる。要するに、我流では通用しなくなってくるという

ことだ。

世の中には次から次へと新しい企業が誕生している。しかし、その大半は

大企業の仲間入りどころか中堅企業にすらなれず、短期間で姿を決して

しまう。それは、成長の節目、節目で、その都度行って行かなくてはなら

ない体質改善がうまくできなかったからであろう。

特に急成長した企業は、規模の拡大に伴って脱皮を繰り返す中で、原理

原則、そして社内の規制やルールを見直す。そして、次なるステップと

して全員がベクトルを合わせ、総合力によって全身していく企業へと進化

させていかなければならない。総合力というのは、社員一人の力を一と

すると、一プラス一か二ではなく、三や四、そして五にしていく、いわば

組織の相乗効果であるが、この方程式を崩していくのが我流や個人の

スタンドプレーだ。ベンチャー企業のトップが人を動かす場合に留意して

おかなければならない重要なポイントである。

 

● 策定

 

政策や計画をいろいろ考えて決めること。「都市計画を―する」

 

● 世間知らず

 

経験が浅く、世の中の事情にうといこと。また、その人やそのさま。

世間見ず。「―な(の)青二才」

 

● 直談判

 

間に人を入れないで、直接に相手と交渉すること。じきだんぱん。

じかだん。「社長と―する」

 

● 引導を渡す

 

相手の命がなくなることをわからせる。あきらめるように最終的な宣告を

する場合などにいう。「見込みのない歌手志望者に―・す」

 

● 常識はずれ

 

考え方や行動などが、世間一般のものとかけ離れていること。

また、そのさま。「―な人」

 

● 範疇

 

 《「書経」洪範の「天乃ち禹に洪範九疇を錫 (たま) う」から》

同じような性質のものが含まれる範囲。カテゴリー。

「コメディーの―に属する映画」「趣味の―を出ていない」

 

● 我流

 

正統のやり方でなく、自分勝手なやり方。自己流。「花を―で生ける」

 

● スタンドプレー

 

1. スポーツなどで、観衆の拍手喝采 (かっさい) をねらってする、

    はでなプレー。

2. 自分を強く印象づけるための、目立つ行為。

 

 

この続きは、次回に。

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