お問い合せ

ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」㊿+17

(4) 弱みを我慢できるか

 

強みを手にするには弱みは我慢しなければならない。

歴史上の偉大な司令官に自己中心的で鏡に見とれないような人物はあまり

いない。しかし、逆に真ではない。

自信満々でありながら偉大な司令官として歴史に残れなかったという将軍は

多い。

同じように、大統領や首相になりたいと思わない者は偉大な政治家には

なれない。せいぜい役に立つ政治家になれるにすぎない。

それ以上のものになるには、世界、あるいは少なくとも国が自分を必要

として、その運命が自分の力にかかっていると信じるほどの自負がなければ

ならない。

危険な状況下においてリーダーシップが必要とされているのであれば、

謙虚さの欠如には目をつぶり、ディズレーリやフランクリン・ローズ

ヴェルトを受け入れなければならない。

もともと身近に仕える者の目から見て偉大な人はありえない。

かわいそうなのは仕える者のほうである。彼らは、その人が歴史の舞台に

呼ばれた特別の能力とは関係のないことまで見させられている。

したがって、「この人は強みを持っているか」「その強みは仕事と関係が

あるか」「その強みによって卓越した成果をあげることは重要か」を

問わなければならない。そして答えが「イエス」であればそのままその者を

任命しなければならない。

 

二人がかりでやれば、優れた一人の人と同じ成果をあげられると考えては

ならない。二人の凡才は一人の凡才ほども成果をあげられず、互いに邪魔を

し合うだけである。

業績をあげるには優れた能力が必要である。人ではなく、仕事を問題に

しなければならない。その仕事について強みをもつ者を探し、卓越性を

求めた人事を行わなければならないということである。

「手放せない。いなくても困る」という声に耳を貸してはならない。

ある人が「欠くことができない」という理由は三つしかありえない。

第一に、その者が実際には無能でありかばってやる必要がある場合である。

第二に、弱い上司を支えるために、その者の強みを使っている場合である。

第三に、重要な問題を隠すため、あるいは取り組みを遅らせるために、

その者の強みを使っている場合である。

いずれの場合であっても、「欠くことができない」といわれる者は、

なんとしてでも直ちに異動させるべきである。

さもなければその者の強みを壊してしまう。

 

ディズレーリ

 

初代ビーコンズフィールド伯爵ベンジャミン・ディズレーリ

(Benjamin Disraeli, 1st Earl of Beaconsfield, KGPCFRS1804年12月

21日 – 1881年4月19日)は、イギリス政治家小説家貴族

ユダヤ人でありながら保守党内で上層部に上り詰めることに成功し、

ダービー伯爵退任後に代わって保守党首となり、2期にわたって首相

(在任:1868年1874年 – 1880年)を務めた。

庶民院の過半数を得られていなかった第一次内閣は、短命の選挙管理内閣

終わったが、庶民院の過半数を制していた第二次内閣は「トーリー・

デモクラシー(Tory democracy)」と呼ばれる一連の社会政策の内政と

帝国主義の外交を行って活躍した。

自由党ウィリアム・グラッドストンと並んでヴィクトリア朝政党政治

代表する人物である。また、小説家としても活躍した。

野党期の1881年に死去し、以降ソールズベリー侯爵が代わって保守党を

指導していく。

 

● フランクリン・ローズヴェルト

 

フランクリン・デラノ・ルーズベルト(英語:Franklin Delano

Roosevelt[ˈfræŋklɪn ˈdɛləˌnoʊ ˈroʊzəˌvɛlt]1882年1月30日 – 1945年

4月12日)は、アメリカ合衆国政治家弁護士ニューヨーク州議会

上院議員ダッチェス郡選出)、海軍次官ニューヨーク州知事を歴任

した。第32代アメリカ合衆国大統領(在任:1933年3月4日 – 1945年4月

12日)。FDRという略称でよく知られている。

なお姓はローズベルトローズヴェルトとも表記する[注釈 1]

 

 

この続きは、次回に。

 

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