お問い合せ

ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」㊿+53

(4) 行動に変える

 

決定を行動に変えなければならない。決定において最も困難な部分が必要

条件を検討する段階であるのに対し、最も時間のかかる部分が、成果を

あげるべく決定を行動に移す段階である。

決定は最初の段階から行動への取り組みをその中に組み込んでおかなければ

成果はあがらない。

事実、決定の実行が具体的な手順として誰か特定の人の仕事と責任になる

までは、いかなる決定も行われていないに等しい。

それまでは意図があるだけである。

これこそ、企業の経営方針の決定によく見られる状況である。

すなわち、経営方針の多くには行動のための措置が何も盛り込まれていない。

その実行が誰の仕事にも誰の責任にもなっていない。

そのためそれらの経営方針は、トップがまったく行う気のないお題目と

見られている。

決定を行動に移すには、「誰がこの意思決定を知らなければならないか」

「いかなる行動が必要か」「誰が行動を取るか」「その行動はいかなる

ものであるべきか」を問う必要がある。

特に最初と最後の問いが忘れられることが多い。そのためひどい結果を

招くことがある。

QRの専門家の間で有名な話が、「誰が決定を知らなければならないか」

という問いの大切さを教える。

ある大手産業機械メーカーが、ユーザーの生産ラインで使われていたある

標準的な機械の生産中止を決定した。ただし、三年だけ生産ラインの更新用

として生産販売を続けることにした。その結果、それまで減少を続けていた

ユーザーからの注文が生産中止に備えて増加した。

だが、「誰が決定を知らなければならないか」という問いがなかったため、

このメーカーの購買部門の部品購入担当者には、その決定が知らされなかった。

彼には機械の売上げに応じて一定の割合で部品を購入すべきことが指示

されており、その指示が変更されなかった。いよいよその機械の生産が

中止されたとき、倉庫には八年分から一○年分の部品が残った。

それらの部品は膨大な損失とともに処分された。

 

● QR

 

「QRコード」は、Quick Responseの頭文字からとったもので、素早く

読み取る・反応するという意味があります。

1994年に現在のデンソーウェーブ社が開発した日本発の技術なんです。

2019/08/22

 

この続きは、次回に。

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