お問い合せ

P・F・ドラッカー「創造する経営者」⑫

第2章❖業績をもたらす領域

 

□ 事業を分析する

 

事業の分析の基本は、現在の事業、すなわち過去の意思決定、行動、

業績によってもたらされた今日の事業の骨格、すなわちその経済的な

構造を調べることから始まる。資源と業績、活動と成果、利益とコストの

間の関係や、相互作用を調べることから始まる。

具体的にはまず初めに、業績をもたらす領域を明確にし理解しておかな

ければならない。業績をもたらす領域とは、個々の事業、すなわち扱う

製品やサービスであり、顧客や最終需要者を含む市場であり、流通チャ

ネルである。本章は、これら業績をもたらす領域について述べる。

 

次の第3章は、それら業績をもたらす領域と利益との関係、およびコスト

との関係を扱う。またリーダーシップと将来性について分析し、知識

労働者や資金など主たる資源について調べる。

第4章では、それら業績をもたらす領域についての暫定的な診断を行う。

第5章では、コストの流れについて分析する。

 

事業の分析は、事実の収集を含む。しかし事業の分析の第一段階として

業績をもたらすものを規定する作業においてさえ、事実上の判断を必要と

する。いかに豊富に事実を収集しようともそれだけでは明らかにされない

事業の構造について、判断を必要とする。

さらには、大きなリスクを伴う意思決定、多くの人を驚かせる意思決定、

身についた慣習に反しているがゆえに議論を引き起こし意見の対立が、

現場に近い人たちの心に、事業、製品、経営方針、将来の方向づけに

ついての疑問を生む。

もちろん、そのような疑問から、実際の経験についての誤った解釈も

生じる。しかし、経験そのものは実在でありそれ自身重要な意味をもつ。

したがって、重要かつ影響の大きな意見の対立は隠すべきでなく、簡単に

説明して終わりにすべきでもない。

雷同して決めてしまうことはきわめて危険である。

間違った問題に対して、間違った意思決定を下すからである。

したがって、この段階では分析の技術的な完全さを求めるのではなく、

意見の対立や判断に関わる問題を明確にすることが重要である。

正しい答えではなく、正しい問いが必要である。

 

 

この続きは、次回に。

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