P・F・ドラッカー「創造する経営者」㊿-66
○ 「すでに起こった未来」を探せ
社会的、経済的、文化的な出来事と、そのもたらす影響との間にはタイム
ラグがある。出生率の急増や急減は、二○年後までは労働人口の大きさに
影響をもたらさない。だが変化はすでに起こった。
戦争や飢饉や疫病でもないかぎり結果は必ず出てくる。
すでに起こった未来は必ず機会をもたらす。それらのものは潜在的な
機会である。すでに起こった未来は組織の内部ではなく外部にある。
それは社会、知識、文化、産業、経済構造における変化である。
一つの傾向における小さな変化ではなく、変化そのものである。
パターンの内部における変化ではなく、パターンそのものの断絶である。
もちろん、すでに発生した変化がもたらす影響を予期し、資源を投じる
ことには、リスクと不確実性が伴う。だがそのリスクは限られている。
影響がいつ現れるかを正確に知ることはできないかもしれないが、影響が
現れることについては確信をもてる。
その影響を役に立つ程度に描くこともできる。
出生率の変化が将来の労働人口に与える影響に関して、予期できない
ものもある。
例えば、女性の労働力化率はどの程度になるか。
一四歳ないし一六歳以上人口の就業率はどの程度か。
そのとき雇用機会はどこにどの程度あるかなどである。
しかし、二○年後において労働人口であるためには、すでに生まれて
いなければならないがゆえに、そのときの最大可能労働人口はこれ
これであるということは確信をもっていえる。
同じように、最近の一世代の間に、中南米は農村社会から都市社会へと
変化した。必ず長期的な影響が出てくるはずである。
この続きは、次回に。