P・F・ドラッカー「創造する経営者」㊿-70
(2) 知識
すでに起こった未来を探すべき第二の領域は、知識の領域である。
しかし知識を自らの企業に関わる知識に限定してはならない。
なぜならば、未来においては自らの企業そのものが今とは違うものに
なっているからである。そして企業は、その卓越性の基盤とすべき
知識の領域においてこそ、今とは違うものにならなければならない
からである。
したがって、現在の企業に直接の関係のあるなしにかかわらず、あらゆる
知識の領域において、すでに起こった未来を探さなければならない。
大きな影響がまだ現れていない基本的な知識の変化がすでに起こって
いることを見つけたならば、当然、「期待すべき機会は存在するか」を
検討しなければならない。
知識の領域における大きな変化であるにもかかわらず、ほとんどの企業が
まだ直接関係があるとは考えていないものの例として、行動科学の進歩が
ある。特に心理学の学習理論はこの三○年間に大きな発展を見せている。
今日の企業活動には、関係がないように見えるかもしれないが、そこで
得られた知識は、教育の形態だけでなく、教育と学習の機材、学校の
設計と設備、さらには企業における研究活動の組織とマネジメントに
大きな影響をもたらす。
出版業から建設業にいたる広範な産業が、それらの新しい知識を製品や
サービスに変える人たちによって、大きく影響を受ける。
この続きは、次回に。