企業とは何か-⑮
いかに資本財生産を確保するか
・公共事業の目的
完全雇用への企業の責務
経済成長を促す
完全雇用政策は循環的不況を克服しなければならない。
同時に、労働人口の増大と生産性の向上に合わせて、経済成長を可能に
しなければならない。
・未来は、利益の蓄積としての資本の力によって築かなければならない。
たとえ成長の速度は鈍化するとしても、われわれは高率の利益を実現し、
その利益の投資を促進しなければならない。
・天然資源については保全の意識も高まった、
しかし創造力、創意、勇気という、人がもつ資源については、信じられない
ほどの無駄づかいがされている。
・今日の経済ニーズはどこにあるか
経済が成熟段階に達したとする者は、流通システムが限界に達したという。
ただしこの説は、航空、電子、新エネルギーなどの新産業については論じて
いない。とはいえ、「これまでも新産業が現れとから、今後も新産業が現れる
であろう」などとはいっていられない。
・今日最大の経済的ニーズは、民間企業が膨大な需要に応じられるだけの流通チャネルを
確立しえていない分野、例えば住宅産業にあることを知らなければならない。
なぜならば、今日の流通システムは個人の行動にしか対応できないからである。
住宅需要は、市場での個人の動きでは顕在化のしようがない。
・住宅の経済学は、個人のためのものでありながら、一定以上の規模を必要とする点において、
鉄道の経済学、あるいは電力の経済学に似ている。
問題は、個人のための集団の行動をいかに組織化するかである。
自由企業体制下でいかに不況を克服するか
自由企業体制のもとにあって不況を克服し雇用を創出することはできる。
第一に、不況自体は自由企業体制を原因としているわけではない。
第二に、自由企業体制、集産主義体制に如何を問わず経済的な資源さえ手元にあれば
解決できるものばかりである。
・自由企業体制のもとで、資本財生産のために資源を動員することができさえすれば、
集産主義に固有の経済的、社会的、政治的危険を回避することができる。
しかも、いかなる資本財を生産すべきかという、重要でありながら未回答の問題に答えが
あることも明らかにできるはずである。答えは、集産主義のもとではほぼ必然的に使われるで
あろう軍需生産ではなく、一人ひとりの消費者のニーズに応じて、国富の増大につながる
資本財生産となるに違いない。
この続きは、次回に。