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簡単な「貿易知識」

新型コロナウイルスの影響で、自宅でずーっと外出自粛をしております。

接角のあまりある時間ですので、書籍を数冊購入致しました。

 

その内の一冊-ユーキャン の食生活アドバイザー検定2級 第3版

速習テキスト&予想模擬の中から、「6章 社会生活 Lesson 3  貿易」を

ご紹介したいと思います。

 

詳細は、是非、購読にてお願い致します。

 

 

Lesson3 貿易

 

ここでは、輸出・輸入に関するさまざまな制度について、また、円高・円安の

意味とその影響について理解を深めましょう。

 

1. 貿易と国内産業保護

 

関税は、国の財政収入になるだけでなく、国内産業を保護するという目的がある。

 

国と国との商取引(輸出・輸入)を「貿易」といいます。

 

日本の貿易は、原料を輸入して工業製品を輸出するというスタイル(加工貿易)が

基本です。

しかし、近年は日本の企業が海外に工場をつくり、そこで生産した製品を

日本で販売する「逆輸入」が増加しています。

 

国内では手に入りにくい商品を個人がインターネットなどを利用して購入する

「個人輸入」も盛んです。

 

● 並行輸入

 

海外の有名ブランド品などを、そのメーカーの子会社や正規代理店が

輸入販売するのではなく、正式契約を結んでいない第三者が輸入すること。

 

輸入品には「関税」が課されます。

たとえば、1万円の商品を輸入したとき、関税率が60%であれば、国内では

1万6000円となります。

 

関税は国の財政収入になるだけでなく、国内産業を保護する目的があります。

輸入や関税に関係する制度をみていきましょう。

 

① セーフガード

 

特定の品目の輸入が急増し、国内産業に重大な損害を与えるか、または

与える恐れがある場合にとられる「緊急輸入制限措置」です。

 

セーフガードは、GATT(関税および貿易に関する一般協定)の特例に基づいて

行われます。これは、「世界貿易機関(WTO)の「セーフガードに関する協定」に

よって明文化された国際協定です。

 

② 輸入割当制度

 

輸入数量の増加によって国内産業が損害を被ることを防ぐため、特定品目の

輸入数量を割り当てる制度です。

輸入割当数量を超過する輸入を禁止します。

 

③ ミニマムアクセス

 

米など国内消費量に比べて輸入の割合が低い品目について、最低限の輸入機会を

設ける制度です。「最低限輸入義務」などと訳されます。

 

④ 特恵関税制度

 

開発途上国から輸入される一定の農水産品や鉱工業産品に対し、一般の

関税率よりも低い税率(特恵税率)を適用する制度です。

 

開発途上国の輸出所得を増大させ、工業化や経済発展の促進を図ることが目的です。

 

—-特恵(読み) トッケイ—-

特に有利なようにとりはからうこと。特別の恩恵

 

 

2. 為替市場と円高・円安

 

ドルを円に交換する動きが活発化すると、ドル売り円買いが進み、円高(ドル安)になる。

 

(1) 外国為替市場

 

日本の企業が外国と貿易をする場合、日本円と外国通貨を交換する必要が

あります。

 

異なる通貨を交換することを「外国為替」といい、自国通貨と外国通貨を

交換(売買)する場のことを「外国為替市場」といいます。

また、通貨を交換する時の交換比率を「為替相場」または「為替レート」

いいます。

 

「市場」といっても株式市場のように取引所があるわけではなく、電話や

インターネットなどの通信手段を通じ、市場への参加者が互いにレートを

出し合い、それぞれ相対で取引を行います。

 

市場参加者のほとんどが銀行であることから、「インターバンク市場」

よばれています。

 

(2) 円高と円安

 

為替相場は、市場における外国為替の需要と供給の関係によって日々刻々と

変化します。

 

● 変動相場制

 

第2次世界大戦後、円とドルとの為替レートは1ドル=360円に固定されていた。

しかし、1973年から変動相場制に移行し、市場での需要と供給の関係によって

レートが変化することとなった。

 

■ 円の需要と供給の関係

 

外国への輸出が増えて、日本の輸出企業にたくさんのドルが支払われた。

    ⬇️

ドルを円に交換する動きが活発化する(ドル売り円買い)

          ⬇️

  円の需要が増える。

       ⬇️

円高(ドル安)になる

 

1ドル=120円のときは、1ドルの商品を買うのに120円が必要です。

ところが、1ドル=80円になると同じ商品が80円で買えます。

つまり、円の値打ちが上がっているわけです。

これを「円高」といいます。

 

● 円高(ドル安)になると、一般的に輸入食品の商品価格は下がるといえます。

 

円高になると海外への旅行が得になったり、輸入品が安く買えるため、

輸入産業はコストが下がり利益が増えます。

しかし輸出産業は、たとえば1万ドルの車を売る場合、1ドル=120円のときは

120万円の売上げになるのに、1ドル=80円のときは80万円の売上げにしかならず、

利益が減ってしまいます。

 

一方、「円安」の時はこれと逆のことが起こります。

つまり、輸入業者にとっては輸入代金が高くなるため利益が減ってしまいますが、

輸出業者は売上げが上昇するため利益が増えます。

ただし、円安が進むことによって、諸外国との貿易摩擦を引き起こす可能性が

あります。

 

円高・円安ともメリット、デメリットがあります。

どちらも急激に進行すると、国内経済に混乱を招くため、為替相場の安定が

望まれます。

 

● 産業の空洞化

 

円高が急速に進むと、主要産業は安い労働力と土地を求めて海外に生産拠点を

移してしまい、製造業を中心とした国内の産業活動の衰退につながる。

これを産業の空洞化という。

 

● 市場介入

 

円高や円安が急激に進行している場合、これを緩和するために政府が為替相場に

介入すること。

たとえば、急激な円高を是正する場合は日本銀行が円を大量に売る。

 

✔  キーポイント

 

● 貿易と国内産業保護

 

1. セーフガードは緊急輸入制限措置。最低限輸入義務はミニマムアクセスである。

 

2. 特恵関税制度は、開発途上国の工業化や経済発展の促進のため、輸出所得を

    増やすことを目的としている。

 

● 為替市場と円高・円安

 

3. 1ドル=98円であったものが、1ドル=96円になったとすると、2円の円高である。

 

4. 円高の場合は輸出産業が利益を減らし、輸入産業の利益は増える。

 

 

 

 

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

 

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