お問い合せ

危機の時代 ジム・ロジャーズ ①

私は現在、「伝説の投資家が語る 経済とマネーの未来 危機の時代」を

読んでいます。

日経新聞を購読しており、この書籍を知りました。

読んでいて、自分が気に入った箇所、勉強になった箇所を抜粋してお知らせ

したいと思います。

ご興味のある方は、是非、ご購読してみてはいかがでしょうか。

 

伝説の投資家が語る 

経済とマネーの未来

危機の時代  ジム・ロジャース

 

はじめに 

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界経済が大混乱し、各国の

主要市場で株価が暴落した。

企業倒産や失業者の増加に対する懸念が急速に高まっている。

 

私は2019年から「2008年のリーマン・ショックをはるかに超える危機が

迫っている」と警告してきた。

それが今、始まろうとしている。

強調しておきたいのは、新型コロナウイルスはあくまできっかけに過ぎない

ことだ。

経済危機が来ること自体は、以前から見えていた。

日々の報道、例えば経済紙に毎日隅々まで目を通していたならば、その兆しに

気づいていた人も多いはずだ。

世界各国の財政状況を見てほしい。インド、トルコ、インドネシアなどの国の

苦境が既に、海外の新聞の一面を飾ってきた。

米国や欧州でも、経済的な問題がかなり前から起こり始めていた。

 

・人生で最悪の危機が来る

 

今回の危機が今後どうなるか分からないが、戦争が起きる可能性は否定できない。

1939年と現在の経済環境に数多くの類似点があるのは確かだ。

しかし絶望ばかりしていても仕方がない。日本語の「危機」という漢字は、

「危険」と「機会」の両方を意味する。

つまりこの危機はチャンスでもある。

誰が恩恵を受けているのか、注視すべきだ。

すでに変化は始まっている。

医療、コンピューター、ヘルスケアにさらに注目が集まる。

より多くの患者が、医師の診察を受けるために自宅のコンピューターに

向かって話しかけるようになるだろう。

食事の宅配サービスも、これまで以上に急速に広がっていくはずだ。

すでに起こり始めていた変化が一気に加速する。

オンライン教育やリモートワークもますます普及する。

こうした分野はより速く、すぐに成長するのでチャンスがある。

一方で、多くの企業が経営破綻するだろう。だがこれは、競合相手に

とっては朗報だ。つまり優勝劣敗が進む。

こうした局面では、誰が得をするのか、よく考えてみることだ。

そして投資を考えるのなら、自分自身が詳しい分野にだけ投資すべきだ。

 

本書では、今起きている危機と、その予兆はどのように見えていたのか、

歴史を振り返ると、過去の危機経済の際に何が起き、人々の生活にどのような

影響を与えたのか、危機が起きた際に個人や企業はどのように行動すれば

いいのか、世界はどこへ向かうのかについて、私の考えを述べたい。

 

2020年4月   ジム・ロジャーズ

 

第1章 リーマンを超える危機が到来する必然

 

・世界に満ちていた楽観論

 

「2008年のリーマン・ショックを超える金融危機が迫っている」。

2019年に私がこう言っても信じない人が多かった。

米国のニューヨーク証券取引所やナスダックの株価指数は過去最高値を

更新しており、世間には楽観的な見方が広がっていたからだ。

 

だが、歴史を振り返ってみてほしい。

2008年秋にリーマン・ショックが起きる前も、世界は楽観的なムードに

満ちていた。

主要市場の平均株価は、各国の経済成長を上回るペースで上昇を続けていた。

当時、問題だったのは世界各国で巨額の負債が積みあがっていたことだ。

政府、金融機関、一般企業、個人を含めたあらゆるセクターで、負債が

膨れ上がっていた。

象徴的だったのは、サブプライム住宅ローンの問題だ。

住宅価格は上がり続けるという前提に立ち、サブプライム層と呼ばれる

信用力が低い人々に、米国の金融機関は積極的な貸し出しを続けてきた。

「ファニー・メイ」と呼ばれる米連邦住宅抵当公庫や、「フレディー・

マック」と呼ばれる米連邦住宅金融公庫が代表格だ。

彼らはサブプライム住宅ローンの債権を買って債権化し、金融機関にどんどん

販売していた。

私は政府の関係者と話す際に、「こんなおかしな状況がずっと続くわけがない」と

何度も警告してきたが、耳を傾ける人は誰もいなかった。

 

・バブルは常にはじける

 

バブルは永遠に続くわけではない。

常にはじけるものだ。

2005年〜2006年にかけて米国の住宅バブルがはじけて住宅価格は下落。

担保価値が下がり、ローンを返せなくなる人が続出した。

その結果、ファニー・メイとフレディー・マックは苦境に陥った。

もちろん問題は連鎖するものだ。両社の債権を大量に購入している他の

金融機関でも損失が雪だるま式に増えていった。

金融機関は借金をして、ファニー・メイやフレディー・マックの債券を

購入していた。

こうした流れの中で、リーマン・ショックが起きたことを忘れてはならない。

 

・危機の予言者たち

 

リーマン・ショックは突然起きたと思っている人もいるかもしれない。

しかし多くの人が気に留めないような小さな兆しがたくさんあり、その後の

深刻な金融危機につながった。それらは危機の預言者のようなものだ。

リーマン・ショックが起きた当時と比較すると、最近の世界経済はどのような

状況にあったのか。同じような危機の予兆がいたるところで見られた。

 

 

この続きは、次回に。

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