お問い合せ

危機の時代 ジム・ロジャース ⑧

・ブラックマンデーを予想できた理由

 

1987年10月19日には、「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」と呼ばれる

世界的な株価暴落も起きた。

その日は私の誕生日だったので、たくさんお金を稼いだことを今でもよく

覚えている。私は当時、株式市場が暴落するとことを予測していた。

 

「ある朝、オフィスに出社したら、平均株価が300ドルも急落するような

悲劇が起きるだろう」と危機の前から私は警告していた。

 

私は、ブラックマンデーのかなり前から、株式市場はあまりにも加熱しており、

暴落する日は近いと考えていた。

実際に私がメディアでそう発言しているのを見て、「ジム・ロジャースは

おかしくなった」と人々は思ったことだろう。

その時点で株価は高値を更新し続けていたからだ。

だが、実際にはブラックマンデーの日に起きた株価暴落は、私が予想していた

よりも、遥かに残酷だった。

 

ニューヨーク証券取引所のダウ工業株30種平均はたった1日で実に508ドルも

下がったからだ。それは率にして22.6%という歴史に残る下落幅となった。

大恐慌の引き金となった1929年のブラックマンデー(暗黒の月曜日)の下落率は

12.8%で、それを大きく上回るものだった。

それでも私は暴落を予想し、多くの株を空売りしていたので、結果的に

大儲けすることができた。

 

市場が完全に崩壊することを私が確信していたのは、それは巨大なバブル

だったからだ。明らかにおかしな熱狂が起きていた。

私は多くの間違いを犯すが、当時、何が起こっているか分かっていた。

問題は、私以外はみんな強気で、誰もが熱狂が続くと信じ込んでいたことだ。

すべてのバブルは同じような奇跡をたどるものだ。

人々は夢中になり、つかの間の絶好調が永遠に続くように思ってしまう。

 

私がよく困るのは、投資した商品を売るタイミングを間違えがちなことだ。

市場のピークを正しく認識することができない。

しかし私は市場の底がどこかを見つけることは得意だと思っている。

 

 

・今回の危機のインパクトははるかに大きくなる

 

ニュースを見て、危機が起きていることを知った人々はこう言うものだ。

 

「ああ、今、私たちは、何が問題なのかを理解した」。

危機は雪玉が坂から転げ落ちるように大きくなっていく。

 

すべての危機は小さなものから始まるものの、やがて大きなものに発展し、

最終的には、リーマン・ショックのような大きな経済危機へとつながる。

 

今回の危機でも、同じようなことが起きるだろう。

しかも危機のインパクトははるかに大きなものになる。

破滅は突然やってきて、人々の生活を台無しにする。

すべてが崩壊し、すべての人に影響を与える。

 

危機の際に政府はどう行動すべきなのか。

米国は、リーマンを救わなかった。

もちろん救った方がよかったという人がいるかもしれない。

しかしそれは、バブル崩壊後によく見られた日本型のソリューションと言える。

 

■ ソリューション

 

ソリューションとは、一般的には「回答」や「解決すること」などの意味を

持つ英語である。 IT用語としては、企業がビジネスやサービスについて

抱えている問題や不便を解消すること、および、そのために提供される

情報システムなどを指す。

 

 

かつての日本のような破綻すべき企業を倒産させないやり方を米国は決して

すべきでない。中国政府も不良債権を処理すると言っている。

 

経営には失敗した企業は整理すべきだ。失敗は一掃した方がいい。

失敗した企業を破綻させると、一時的に経済は混乱するが、いずれ復活する。

歴史は、危機が起きてしばらく経つと、経済は盛り返すことを示している。

 

・いったん成功した日本が転落した理由

 

戦後の日本は焼野原から復活した。

国民が勤勉だったからだ。

日本人は早朝から夜遅くまで一生懸命働いた。

彼らは会社のために身を粉にして努力した。

1950年代には日本は、素晴らしい品質の製品を製造できる力を見に付けた。

最初は価格の安さだけで商売していたが、それ以上のことをしなければ

ならないと気づいた。

品質こそが、自分たちが成功するための唯一の道であることに気付いたのだ。

 

日本メーカーは素晴らしい品質を実現できれば、商品を世界中で販売できると

気づくようになった。

製造業全体で改善活動に取り組み、高い品質を実現するようになった。

 

日本人は1950年代に、商品は価格ではなく品質で売らなければならないことを

知った。それこそが、日本が成功した理由だ。

しかし戦後、危機から立ち上がり、高度成長を成し遂げた日本の成功は

台無しになった。

バブル崩壊後、経営に失敗した企業が破綻しないように救済するケースが

目立つなどして、経済は長い間落ち込んだ。

ダメになった企業が倒産しないことは、長期的にみて間違っており、日本は、

失われた10年どころか、30年にわたる経済の停滞を経験することになった。

 

今の日本は多くの問題に直面している、出生率は低く、莫大な借金も抱えている。

そして問題を抱えた産業や企業を支えるためにひたすらお金を借り続けている。

そんな時に未曾有の危機が迫っている。

 

私は日本が大好きだが、その将来が明るいものだとは決して思えない。

 

 

この続きは、次回に。

トップへ戻る