お問い合せ

危機の時代 ジム・ロジャース ⑫ 

・常識に反するアイデアを人は信じない

 

常識に反するアイデアを持っていて、それを周囲に伝えても、誰もあなたを

信じないだろう。

多くの人々の耳には、それは人間の言葉ではなく、オオカミの鳴き声のように

聞こえているはずだ。

みんなと違うアイデアや珍しいアイデアを信じる人は、普通はいない。

テレビでもインターネットでも、多くの人に受け入れられているニュース以外は、

信じてもらえないものだ。

 

人間は常識にとらわれ、多数の人が言っていることが正しいと思い込みがちだ。

他人の意見に惑わされず、自分の頭でものごとを考えるのは簡単でない。

だから私は自分の子供たちにこう教えている。

「お前たちは、他人に依存せず、自分の頭で考えなければならない」と。

それは簡単なようで、本当は難しいことだ。

 

それでも他人の言うことを気にするべきではない。

世間で常識とされていることを疑ってみた方がいい。

自分の頭で考えないと、見えない真実がある。

 

・危機の際の人間の行動には共通点が多い

 

「すべてが変わる」と私は言ったが、歴史から学べることはたくさんある。

 

危機の際に、人々がどう考え、どう行動するかについては共通する点が

多いからだ。

危機が起き、経済が崩壊しても、必ず復活する—–。

 

私はそれを自らの経験と読書から学んだ。

とりわけ実際に危機が起きた際にこそ、過去の歴史から学ぶことが大事だ。

投資をしていると、何かが変化していることが分かる。

問題は、ほとんどの人が過去の歴史をきちんと見ていないことだ。

歴史を振り返れば、今起きていることが何であるかが、きっと見えてくる

ことだろう。

 

日本人は多くの危機を知っている。

大半の日本人は、災害が発生すると、「ああ、神様。なんてことだ」と

嘆くだろう。だが、過去に同じような災害は起きており、先人の知恵に

学べることは少なくないはずだ。

 

危機の時にこそ、投資家はお金を投資して、困っている人々を助けるべきだ。

それこそが、災害を生き延びた人々を救うことになる。

結果的に誰かがお金を稼ぐこともあるかもしれないが、必要な時に必要な

場所にお金が向かうのは間違いなくいいことだ。

 

・逆境で生まれる投資チャンス

 

世界には、ベネズエラのように、何年も前から経済が大惨事に見舞われている

国もある。このような状況では、5〜6年は待つ必要があるかもしれない。

戦争のような悲惨な状態にある国では何もかも安くなり、投資のチャンスがある。

こうした国には、資本もエネルギーもないので、人々は不幸な生活を送っている。

 

危機や大災害が起きた後に投資すれば、多くのお金を稼ぐことができる。

もちろん行動するなら、危機が終わりに近づいているという確信が持てる

タイミングにすべきだ。

 

私は長年にわたって、災害や危機を観察する中で、どこにチャンスが潜んで

いるかを学んできた。

 

・中東戦争で得た気づき

 

私が防衛産業に投資しようと思ったきっかけは、1973年に起きた第四次中東戦争だ。

戦争が始まった日に、エジプト空軍がイスラエル軍のジェット機を撃ち落とす

ことに成功した。

イスラエルは序盤の劣勢を後から挽回するが、それまで無敵のイメージがあった

イスラエルが苦戦したことは大きなショックだった。

 

私はエジプト空軍が、当時のソ連が開発していた高度な電子機器を受け取って、

戦争に使っていたことを知った。

そこで私は米国の様々な防衛企業を訪問し始めた。

ロッキードは当時破産状態にあったが、高度な技術開発力で知られていた。

もちろん全ての予測が当たるわけではなく、私は間違いを犯し続けている。

それでも、何か変化が起きていることに早く気付くことができれば、多くの

お金を稼ぐことができるという自信はある。

 

私は2018年に保有していた日本株をすべて売却した。

その後、2020年までは何もしなかった。

しかし買いのタイミングが近づいてきた。

私は世界を見ており、日本は再び私の投資リスクに載っている。

市場の動向次第で、再び日本株を購入する可能性はある。

まだ物色している段階だが、投資を検討している。

値上がりが続いていたら、私はもちろん買わない。

しかし価格が下落したら、間違いなく私は投資を検討する。

今はそのような局面が来ている。

 

・危機の際に成功する投資とは

 

商品、株、通貨など、さまざまな投資の対象となるものがある。

危機や災害時に成功する投資は、好況時とは異なるものだ。

逆回転し始めた時にこそさまざまなチャンスが生まれるので、優れた投資家は、

不況は景気の正常な循環の一部だと考える。

 

他の全ての人が失敗しているときに、投資に成功するためには何が必要なのか。

投資すべき対象を上手に見つけなければならず、その際には、以前は見向きも

しなかったものにチャンスが生まれている可能性がある。

 

あなたが自信を持って投資できる対象を見つけた場合、見つけるのが遅くても、

それは、国であろうと、株であろうと、何であれ非常に大きな利益を生む

可能性がある。

 

私は世界や自分自身について十分に学び、いつも危機が起きたらどのように

行動するかを考えている。

投資で成功するために必要なリサーチを続け、自分が知っているものに留まり、

変化が起こっている場所で安いものに投資する。

他の人が絶望し、何でも手放そうとするときに、うまくいきそうな対象を

見つけて投資する。これは基本的な原則だ。

危機の最中であろうと、危機の後であろうと、危機の前であろうと、私は

こうしたスタンスで投資を続けている。

 

バブル時に投資すべきでないとはすでに述べた通りで、ブームになっている

産業が巨大になったとしても、お金を稼ぐことは難しい。

バブルに投資してもお金を稼ぐことはなかなかできない。

 

・間違いをそのままにすべきではない

 

危機の際に、不動産は保有すべきなのかという質問もよく受ける。

価格が下がった場合に不動産を持ち続けるべきなのか。

安くなった不動産を購入すべきかについては迷うところだろう。

すでに不動産を保有している場合、重要なのは、損が出ているものを持ち

続けるよりも、早く売却した方がいいということだ。

 

間違いをそのままにすべきでない。

現実を受け入れ、それに合わせる形で、あなたは行動しなければならない。

 

投資家にとって、危機は素晴らしい機会だ。

自分自身を鍛えることを学ぶことができる。

私はさまざまなことを学んだ。

私は危機を知った時に、自分に何ができるのかをいつも考える。

どうすれば幸せになれるか、と。

 

危機が起きると、「ああ、ここにチャンスがある」と私は考えるが、

ほとんどの人はそうは思わない。

多くの人は観光客として新しい国に行って現地を見ただけで、この国は

素晴らしいと考えるが、あなたはそう思うべきでない。

 

私はそうした際に、何か新しいものや違うものがないかを常に探している。

実際に世界各地に足を運び、街や人々の様子を観察し、変化を発見するのが

大好きだ。

パリのエッフェル塔を見ただけで素晴らしいと言う人は、ほかにも何かないか

観察して注意を払う必要があるのかもしれない。

私も若い頃は、旅行して街を見て、「すごい。なんて美しい建物なのか」と

素直に思ったものだった。

しかし長年、投資を続ける中で、美しい建物を見るだけでなく、周囲を

見回して他に何が起きているかを学ぶことが重要だと考えるようになった。

 

 

この続きは、次回に。

 

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