知識ゼロからのイノベーション入門⑨
第2章 [アマゾン]
ジェフ・ベゾスの顧客志向イノベーション
—-要は「サービス」だ
第1話 人と同じものを見て、人と違うことに気づく。
⚪️ まだ目立たないものに好機がある。
イノベーターの特徴は、小さな潮流を見て「凄いことが起きている」と気づくことだ。
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスが、まだ小さな潮流だったインターネットの凄さに気づいたのは、
1994年である。
ベゾスは、1986年にプリンストン大学を首席で卒業、金融会社副社長補佐などをへて
1990年に世界最大級のヘッジファンドD・E・ショーに入社、後に同社最年少の副社長となった。
インターネット時代の幕開けは、1993年。
ウェブプラウザ「モザイク」が出て、簡単に大量の情報を引き出せるようになったのだ。
D・E・ショーのCEOデビッド・ショーも関心を持ち、ベゾスに調査を命じた。
ここでベゾスは、インターネットが年率2,300%という信じられない勢いで成長していると知る。
そして、「年に2,300%成長するものは、今はまだ目につかなくても、明日になれば
巷にあふれるようになる」と考えた。
⚪️ 大切なものは意味に気づくこと
ベゾスは才能にあふれ、早い時期から自分の会社をつくることを夢見ていた。
インターネットの爆発的な成長を見て大きな可能性を感じ、そこにどんなビジネスチャンスがあるのかを
模索し始める。
これがスタートとなって、ベゾスはアマゾンを創業するのである。
第2話 改革は偶然では起きない。顧客調査から始める。
⚪️ イノベーションは偶然では起こらない。
綿密な調査が必要だ。ベゾスも「人がインターネットで買うものといったら何だろう」ということを、
ネットに似た通信販売で調査した。
答えは「消費者は自分がよく知っているものを買いたがる」だった。
ベゾスは「これだけ膨大で多様な商品があれば、これまで存在得なかったような店を
オンラインでつくることができる」と考えた。そして、インターネットでの書籍販売こそが
大きな成長性を秘めていると確信するようになったのだ。
第3話 収入が増えそうな道よりも後悔が少なそうな道を選ぶ。
⚪️ 判断基準は「後悔最小化フレーム」
アイデアだけでは、イノベーションは起こらない。実行が必要だ。
ベゾスは、80歳の自分が人生を回想する「後悔最小化フレーム」を使って反論した。
会社を辞めると1994年のボーナスを棒に振るが、80歳のベゾスはそれを後悔しないと、
覚えてもいないはずだ。
一方、アイデアを棒に振ったら、きっと後悔する。
「そう考えたら、決断するのは信じられないぐらい簡単になった」と言っている。
ベゾスは書店業界を全然知らなかったが、年に2,300%も成長しているという切迫感が決断を
後押しした。
⚪️ どこでやるかの条件
いったん「やる」と決めたら、次はどこでやるかだ。
条件は3つ。
① エンジニアやプログラマーがたくさんいる。
② 人口が少ない。
本の売上税は、その州の住民が注文した本にのみかけられるからだ。
③ 本を送る関連業者が近くにいる。
結論はシアトルだった。マイクロ本社があり、エンジニアの宝庫だ。
人口は少なく、全米最大の書籍配送センターも比較的近くにあった。
友人もいた。1994年夏、ベゾスは妻と共にシアトルへ向かった。
この続きは、次回に。