知識ゼロからのイノベーション入門-フェイスブック⑤
第10話 とにかく早く。人真似はそれ自体遅れている。
・ 失敗覚悟で先手を打つ
ザッカーバーグのモットーは、「ムーブ・ファスト(素早く動く)」だ。
半端な速さでは変化の激しいネットの世界では置いていかれる。
人真似もダメだ。後追いをすること自体、遅れている。
失敗してもいいから、家具この上で先手を打ち、新サービスを導入する。
⚪️ 変化の激しいネットの世界で不可欠な素早い決断と迅速な行動。
⚪️ 反発は覚悟の上で先手を打って新しいサービスを導入するスタイル
・ 提案型開発がイノベーティブ
ザッカーバーグは他社の動きやユーザーの要望を元に開発するのではなく、
「こんなのはどうですか」と先へ先へと提案していく。
時に大きな反発も受けるのは、イノベーターであることの代償である。
第11 改革者が経営上手とは限らない。プラスアルファの力が必要。
・ 若者がCEOになる3つの条件
イノベーターが優れたCEOであるとは限らない。
経営はプロに任せ、創業者であるイノベーターは得意とする製品づくりに専念するのが、
一般的には成功の近道といえる。
ところがザッカーバーグは20代と若く、経営の経験もないのに、創業から今日に至るまで
CEOであり続けている。
その理由は3つあげられる。
1つは、ファイル共有サービス「ナップスター」の開発者ショーン・パーカーの存在だ。
パーカーは革命的な製品をつくりながら、いつも投資家とのトラブルで会社を追い出されている。
その体験談はザッカーバーグの大きな教訓になった。
また、パーカーはフェイスブックの社長を務めたこともあり、ザッカーバーグが会社を
追い出されない強固な体制づくりを行っている。
「君が多少の失敗をしてもそれを取り返し、学ぶチャンスを与えるために君の背中を
守ってやる」と言った。
・ 世界を変えるにはまず自分が変わる
もう1つは、ザッカーバーグが「世界を変えたければまず自分が変わらなければならない」という
マハトマ・ガンジーの言葉に刺激を受けて思索を重ね、ピーター・ドラッカーの本なども
読んで経営の勉強をしたことだ。
尊敬するワシントン・ポストCEOのドン・グレアムと4日間、行動を共にし、
考え方や行動の仕方を実地で学んだりもしている。
3つ目は、2006年にヤフーから10億ドルで買収を申し込まれ、幹部や社員たち全員が
「売りたい」考えた時に「ノー」を貫いたことだ。
ザッカーバーグが正しい決断のできるCEOであることを示したできごとだった。
第12話 面白い仕事に専念するために、利益にも目配りを。
・ 「楽しさ」をお金より重んじる
ザッカーバーグの関心は、お金を儲けることより「クールなものをつくる」ことに向いている。
天才的なプログラマーだから、早くから大金を手にするチャンスを得て いたが、すべて断っている。
高校時代に音楽再生ソフト「シナプス」をつくって評判になった時も、マイクロソフトや
AOLなど多くの会社から買収を持ちかけられたが、答えはすべて「ノー」だった。
「ああした会社の狙いは、本当はシナプスじゃなくて、僕たちをスカウトして働かせること」
だったからだと理由を説明している。
ザッカーバーグは「お金よりも、よりよい世界」という価値観を強烈に持っていた。
フェイスブックも儲ける場所ではなく、ユーザーに楽しんでもらうプロジェクトでなければ
ならなかった。
・ お金は好き嫌いを超越する
もっとも、ユーザーが増えれば運営経費などが負担になることも理解しており、
「将来は、運営経費を取り返すために広告を掲載するかもしれない」と認めている。
ビジネスの拡大には収入が欠かせないが、広告は嫌い。
この矛盾は、グーグルからシェリル・サンドバーグがフェイスブックに移ったことで一応の決着をみる。
フェイスブックは広告によって収益を得る方法を確立することになったのだ。
この続きは、次回に。