まんがで見につく 孫子の兵法 ⑤
最終話 戦わずして勝つ道はある
〜人の耳目(じもく)を一(いつ)にする〜
組織は、チーム全体でビジョンを共有することで強くなります。
最終話では、組織やチームが強くなるための方法を学びます。
舞の機転で、持ち直したオクダ食糧。
『孫子』の力を見直した社長から新たな提案が—–
「其の疾きこと風の如く、其の徐なること林の如く、侵掠すること火の如く、
動かざること山の如く(略)—–」
訳—
戦いは、風や林、火、山のように、自然のあり方に学ぶべきである。
「軍政に曰く、言うも相い聞こえず、故に金鼓を為る。
視すも相も見えず、故に旌旗を為る。是の故に昼戦に旌旗多く、
夜戦に金鼓多し。
夫れ、金鼓、旌旗は人の耳目を一にする所以なり。
人既に専一なれば、
即ち勇者も独り進むことを得ず。怯者も独り退くことを得ず。
此れ衆を用うるの法なり。」
訳—-
古い兵法書には「口で言ったのでは聞こえないので、鉦や太鼓を用いる。
手で指し示しても見えないので、旗や幟を用意する」とある。
だから、昼間の戦闘では旗や幟が多く使われ、夜戦では鉦や太鼓をよく使うのである。
そもそも鉦を太鼓、旗や幟などは、兵士たちの注意を引き、集中させるために用いるものなのだ。
すでに兵たちの意識が統一されていれば、勇敢な兵士も勝手に進むことはできず、
臆病な兵士も勝手に退散することはできない。
これが大軍を動かす時の秘訣である。
「激水の疾くして、石を漂わすに至る者は、勢なり。
鷲鳥の撃ちてき折に至る者は、節なり。
是の故に善く戦う者は、其の勢は険にして、是の節は短なり。
勢は弩を張るが如く、節は機を発するが如し。」
訳—-
水の流れが激しく岩石をも漂わせるのは、その水に勢いがあるからである。
猛禽が急降下して一撃で獲物を打ち砕くのは、絶妙のタイミングだからである。
したがって戦上手は、その戦闘に投入する勢いを大きくし、その勢いを一瞬の間に
集中させて、放出する。
勢いを蓄えるのは弩(弓)の弦を一杯に引くようなものであり、
節(タイミング)とは、その引き金を引く時のようなものである。
この続きは、次回に。