読めば納得! 認知症予防 脳を守るライフスタイルの秘訣②
3.認知症は予防できるか
アルツハイマー病は、老人斑と神経原線維変化が原因病変であることを示した。
老人斑はβタンパクというゴミのようなタンパクが異常に蓄積した塊であること。
神経原線維変化はタウタンパクが神経細胞の中に異常に蓄積した塊であることが判明しました。
アルツハイマー病のキーワードとして、ベータ(β)とタウ(τ)の名前だけ覚えておいて下さい。
脳血管性認知症は、動脈硬化を背景にした脳血流の低下が主要な原因で生じる認知症です。
動脈硬化を防ぐライフスタイルや、高血圧症、脂質異常症などに対する医療の進歩によって、
脳血管性認知症の予防や進行を防ぐ方法が考えられてきています。
認知症の予防には、認知症の原因となる疾患の病態(どのような原因で、脳がどのように
壊れるのか)をしっかり理解する必要があります。
多少難しい点もありますが、病気の成り立ちを理解すると、その予防策を実行しようという
意欲が高まると思います。
運動不足→内臓脂肪の蓄積→認知症の発症へとつながるメカニズムをよく理解すると、
考え方も変わって、脂肪を減らすよう真剣に取り組めるのではないでしょうか。
4.科学研究の成果を活かす—疫学研究と動物実験—
5.リスクって何?
本書で示す疫学研究では、例えば、運動でアルツハイマー病のリスクが1/3になる、
肉より魚の食事でリスクが1/2になる、赤ワインでリスクが1/2になる、などの結果が出てきます。
では週2回以上運動して、肉より魚の生活で、毎日赤ワインを少量飲むと、認知症のリスクは
「1/3×1/2×1/2=1/12」になるのでしょうか? 答えは、不です。
運動習慣のある方は、食事や飲酒などにも気を使っている方が多いので、それぞれの予防策で
重なる部分があり、実際はこの三つを守っても、調査期間内の発症リスクはざっと1/6程度でしょう。
第2章 認知症の成り立ちを知る
認知症の症状には、脳病変で神経ネットワークが壊れて生じる症状(記憶障害などの認知障害)と、
その人の生い立ちやケア環境などが大きく影響する症状(妄想、徘徊、焦燥などの行動、
心理症状)があります。
さらに、脳の余力や回復力が脳病変に打ち勝てば発症しません(発症後に症状が軽くなることもあります)。
このように、認知症の症状は、認知症を引き起こす脳病変だけではなく、脳の余力、回復力、
ケアの仕方のトータルバランスによって引き起こされることを理解しておいて下さい。
1.アルツハイマー病
認知症の最大の原因疾患であるアルツハイマー病は、原因がまだわかっていないと
よくいわれていますが研究が進み、原因が明らかになりつつあります。
アルツハイマー病の最大の要因は老化です。
廊下に伴って不要なタンパク(いわばゴミタンパク)が脳に多量に蓄積します。
ですから、不要なタンパクが溜まらないようにすれば、アルツハイマー病を防ぐことができます。
1-1 βタンパクの産生
βアミロイドって何だろう
1-2 βタンパクの異常蓄積
1-3 遺伝子の影響
1-4 βタンパクからタウへ
Step Up!
レビー小体型認知症
αシヌクレインというタンパクがレビー小体として大脳の神経細胞に溜まり、認知機能が悪くなります。
一方、このタンパクが脳幹部のドパシン神経系の神経細胞内に蓄積すると、パーキンソン病になります。
この続きは、次回に。