認知症にならないための 決定的予防法③
第1部 アルツハイマー病を理解する
1 将来あなたはアルツハイマーになるのだろうか?
アメリカで大流行
アルツハイマーは70%の患者では予防できることがわかり、遺伝的素因がある人でも10年から15年は
発症を遅らせることが明らかになりました。
しかし、アルツハイマーを予防したり遅らせたりするためには、解決しなければならない
大きな問題が次のように三つあることに私は気づきました。
1 脳を破壊するフリーラジカル[遊離基。活性酸素の一つ]をどう排除するか。
2 加齢とともにバランスが崩れてくるホルモンと神経伝達物質をどう安定させるか。
3 アルツハイマーの予防のために日々実践する食事と生活改善プログラムをどう開発するか。
私は特定の栄養素と酵素、および食べ物の組み合わせと比率が、フリーラジカルを
撃退するのに役立ち、ホルモンと神経伝達物質のバランスを保つ一助になることを示す、
説得力のある証拠を見つけました。
あふれんばかりの脳の研究は、運動とニューロビクス(脳の体操)が脳の予備力を増やし、
認知力の自然な低下を相殺しえることをはっきりと証明しています。
私たちは実際、加齢とともに脳をより大きくし、記憶力を向上させることができるかも
しれないのです!
こうしたことはいずれも、アルツハイマーの治療方法はなくても、私たちの食事と
生活習慣がその予防に大きな役割をはたすことを裏づけていました。
2001年4月中旬のある朝早く偶然に、私のアルツハイマー患者のライフスタイルに
共通する三つの明確な特徴に気づきました。
1 不充分な睡眠(18時間勤務や、夜中にも呼び出しがかかる仕事に就いていた)
2 予測のできないストレス(救急処置室や法廷からの呼び出しや、警察本部から無線連絡を待つ、
「厳戒態勢」にあった)
3 時間がなく、座りがちなライフスタイル(仕事に熱中するあまり、運動や休憩のための時間も
とらなかった)
同時に、私はこれまでの神経学や精神医学の研究をよりどころに、人間の大脳新皮質の
(考える)脳によって大脳辺縁系の(情動的な)脳を制御しつづけるためには、ドーバミンと
セロトニンを充分な値に維持しなければならないことに気づきました。
これらの神経伝達物質は、<よく眠り、運動し、瞑想>したときなどに生成されます。
神経伝達物質のセロトニンとドーパミンが高レベルであれば、われわれの新皮質の脳は
うまく意思決定を下せるようになります。
これはどんな食事療法や生活改善プログラムを実践するうえでも必要なものです。つまり、
ストレスをうまく管理して、充分な睡眠をとり、毎日運動することは、老化の過程において
ホルモンと神経伝達物質のバランスを保つのに必要不可欠なのです。
新皮質の(考える)脳がコントロールされていれば、健康な脳を育む生活改善プログラムを
はるかに継続しやすくなるので、アルツハイマー病を予防する可能性もずっと高まります。
良質な睡眠をとり、ストレスと積極的に付き合うことは、晩年に認知機能を保つうえで
欠かせません。
この続きは、次回に。