認知症にならないための 決定的予防法㊵
異化ホルモン
異化ホルモンには、コルチゾール、プロゲステロン、およびデヒドロエピアンドロステロン
[DHEA]が含まれる。
異化ホルモンは、DHEAを除いて、敵として見なすとわかりやすくなります。
グルコース(エネルギー)合成に利用される筋タンパクを分解する働きをするからです。
異化ホルモンは交感神経系と関連しています。
つまり、<闘争か逃走>を迫るアドレナリンによってあおられた、警戒する側です。
異化ホルモンは、筋肉量と骨密度を減らし、腹部脂肪の蓄積量を増します。
異化ホルモンは不健康で魅力的でない<カウチポテ体型>を生みだすのです。
異化ホルモンは交感神経系も刺激し、警戒心、不安、高い脈搏数、それに高血圧を引き起こします。
異化ホルモンが、闘争・逃走反応で使われる多くの神経伝達物質とともに枯渇してくると、
うつ病にもつながります。
加齢とともに同化ホルモンが急減することを、もう一度、心に留めておいてください。
反対に異化ホルモンは急増します。このホルモンの不均衡が除脂肪体重の減少と、
脂肪の増加につながります。
実際、20歳から70歳のあいだに、筋肉量は45%減り、筋力は60%も衰えるのです。
毎日、運動して、このステップ2でご紹介する筋肉増強の戦略を使って、その減少を
食い止めれば別ですが。
年をとるにつれて、より熱心に運動しなければなりません。
私は患者に、退職した人の仕事は、オフィスを離れてジムに通うことだと伝えました。
大脳辺縁系—自律神経系のバランス
同化と異化のシステムのように、交感神経系と副交感神経系は脳のなかの辺縁系、
つまり情動的な部分によって支配されています。
交感神経系、すなわち<警報装置>は、アドレナリンとノルアドレナリンが引き金となり、
体を闘争・逃走反応に備えさせます。
アドレナリンの分泌は体のさまざまな部位に同時に1000通もの電報を送るようなものです。
これらの電報は、よい意味でも悪い意味でも、体がストレスに対処できるように準備をさせます。
警戒反応の段階において、体に起きているのは次のようなことです。
血管—体の表面近くにある血管が収縮してふさがれ、肝臓、腎臓、脳、主要な筋肉などの
重要な器官に、血液を送り込むようになります。
血圧—血液が心臓に流れ込むと、血圧が一気に上がって、血液をやはり主要な器官に
めぐらせるようになります。
心搏数—心搏数は上がり、高くなった血圧のバランスをとろうとします。
燃料の放出—肝臓にたくわえられた炭水化物は、グルコース(血糖)に変わり、燃料を
必要とする器官、なかでも神経系と脳に燃料を与えます。
消化—この作業は中断されます。
排尿の頻度—膀胱が収縮します。尿がすぐにでてくるようになるため、思わぬ事態にもなります。
肺—呼吸が速くなるため、酸素と二酸化炭素の交換が活発になります。
より多くの酸素が使えるようになって、ストレス反応の結果、代謝率は
高まります。
目—瞳孔が広がって、薄暗い明かりに適応するようになります(闘争か逃走に備えます)
筋肉の緊張—筋緊張が影響を受けるので、恐怖やストレスにたいして震えるのは通常の反応です。
警戒状態が繰り返し起こるので、体の調子が崩れることで、ストレスが顕在化します。
警報機が鳴りやむと、体は落ち着いて、元の状態に戻ります。
体は副交換神経系、つまり<くつろぎのシステム>によって、こうした状態になります。
異化ホルモンは交感神経系を刺激して、アドレナリンを分泌し、体をつねに警戒状態にしますが、
副交換神経系は気持ちを落ち着かせ、心搏数を減らして、くつろぎ感を増やします。
この続きは、次回に。