『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』⑤
10 年間400時間の残業をゼロにまで減らした方法
当時の私の平均退社時間は21時以降、残業は年間400時間を超えていました。
ところが入社6年目になって、残業時間はほぼゼロになりました。
これも「1枚」のおかげでした。
オリジナルの「1枚」で時間を大幅に節約できる
このときやったことの1つが、〝MY1枚〟の作成です。
まず、どんな仕事でも、考え、明確にするべきポイントがはっきりしているので、考える時間が
大幅に短くなります。
「1枚」にまとめるときには、考えた結果をあらかじめ用意したフォーマットの各枠に埋め込んで
いけばよいだけなので、書類作成の時間も大幅に短縮しました。
さらには、伝える時間も短くなりました。
「1枚」があれば休んでいても仕事が進む
そしてオリジナルの「1枚」の極めつきともいえる効果がもう1つ。
それは、「会社を休んでも仕事が進む」ことでした。
このように、「1枚」は仕事の時間短縮にも劇的な効果を発揮します。
しかも、自分の時間だけでなく、仕事相手の時間も節約する。
「紙1枚」にまとめる習慣が、自分も周りもハッピーにしてくれるといえます。
11.「クルマ好き」ではなかった私がトヨタを選んだ理由
なぜトヨタへの入社を希望したかというと、大きな理由の1つが、「トヨタが日本一の純利益を
上げる会社だったから」というものです。
「なぜ、トヨタはナンバーワンなのか?」
そこで着目したのが、トヨタで働く人たちが皆、事実としてやっている「動作」でした。
つまり、あらゆる仕事を「紙1枚」にまとめている、という動作です。
実際にこの動作は、7万人にのぼるトヨタ社員のほとんどが、日ごろから当たり前のように行っています。
行き詰まったらとにかくまず「1枚」を書いてみる
「ちょっとたたき台を用意してくれるか?」
このセリフはトヨタにいたころ、何度となく私が耳にしたセリフです。
なぜたたき台を求めるのかといえば、それによってひとまず議論がスタートするからです。
トヨタの場合、たたき台として用意されるのは、もちろん1枚に収まった書類です。
1枚という制約がある以上、あれもこれも放り込むわけにはいきません。
考え抜かなければならない。
すると、自然とたたき台が完成する段階では、論点がクリアなものになります。
論点がクリアなものほど、賛成も反対もしやすい——。
「1枚」のたたき台が、議論をシンプルで、深いものにするのです。
トヨタの統合する力は、こうした「1枚」のたたき台が可能にした、効率的な議論の積み重ねの
果てに生まれたものだと私は考えています。
あなたも、仕事で行き詰まったら、とにかくまず「たたき台」を作ってみてはいかがでしょうか。
1枚の紙の上で、現状の問題を認識し、対策案を考えてみる。
これだけで、思うようにいかなかった仕事も、必ず前進するはずです。
この続きは、次回に。