お問い合せ

超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング㉓

STEP-7  4人の天才たちの教え

 

情報革命後の世界では、目に見えるもの、過去に経験したこと、すでに常識になっていること、

自分の内面などに視野をとどめていると、足元をすくわれることになる。

これまで紹介した7人の天才たちは、むしろ果敢に、目に見えないもの、経験したことのない未来、

旧来のロジックの通用しない世界、他人の心の内などにイマジネーションを広げ、直感的に

新しい世界観を感じ取っていた。

彼らのようにモノの見方を変えられるかどうかが、生き残るビジネスパーソンとそれ以外とを

分けることになる。そこで、ステップ1から6では、「見えないものを見る」「自分の器を超えた問題を解く」

「未来を作り出す」「常識から自由になる」「人の内面を見る」「仮説を立て検証する」といった一連の

トレーニングに取り組んでもらった。

そして、イマジネーションや直感力は、観察や仮説の検証を通じて鍛えることができることについて

述べてきた。

最後のステップ7では、少し時代をさかのぼり、こうしたモノの見方をすでに獲得した4人の天才たちが、

これまでに成し遂げてきた偉業を振り返りつつ、彼らのお教えを請うことにしたい。

ここで登場願うのは、インテルの可能性を引き出すことに成功したアンドリュー・グローブ、

情報通信業界の未来を予測しIBMの再生を成し遂げたルイス・ガースナー、シンガポールという島を

世界経済のハブにまで押し上げたリー・クアンユー、「経営の神様」といわれた松下幸之助の4人だ。

 

アンドリュー・グローブの教え

   「事業の見方を変えれば、違った可能性が見えてくる」

   Andrew Grove

 

インテルの歴史は3つの時代に分けられる。

第一期は1968年から85年までの「メモリ企業」の時代、第二期は85年から98年までの「マイクロ

プロセッサ企業」の時代、第三期は98年から始まった「インターネット関連企業」の時代である。

メモリとマイクロプロセッサは、いずれもコンピュータの中核的な構成要素で、それぞれ記憶装置と

演算装置を意味する。

この中で、アンドリュー・グローブは第二期のCEOを務めた。

グローブは全米で最も優れた経営者のひとりともいわれる。

それは、この第二期において、インテルがパソコンのプラットフォームを支配する企業として

飛躍する可能性を見出したからだ。

 

「生死を賭けた独壇場になってはじめて、目の前の現実が、長年信奉してきた信条を打ち破るに至った」

 

さらにグローブは、自社を単なるマイクロプロセッサのサプライヤーとして見るのではなく、

パソコンのアーキテクチャを創造する企業として見る世界観があることも発見する。

ここで、エクササイズに取り組んでもらおう。

 

Exercise  7-1

インテルをマイクロプロセッサのサプライヤーとしてみた場合、成功要因は先ほど述べたように、

回路設計技術やマーケティング力になります。しかし、パソコンのアーキテクチャを創造する企業と

してみると、それとは違った成功要因が浮かび上がります。

グローブはどのような成功要因を見出したのでしょうか?

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

グローブは、「パラノイアだけが生き残る」という有名な言葉を残している。

パラノイアとは精神病の一種で、常に不安や妄想に駆られる症状をともなう。

環境の変化に対して過敏になり、不安を感じ続けることが生き残る条件だとグローブはいっているのだ。

新しい刺激を取り込み続けることで無意識の世界が活性化し、そこからある日突然新しい世界観が

浮かび上がる脳の構造を、グローブ流に表現したものと言えるかもしれない。

グローブの経験から学べることは、自社をどう見るかによって、ビジネスチャンスの見え方が

変わってくるということだ。

「自社は半導体製品のサプライヤーであり、その用途は50種類ぐらいある」というモノの見方からは、

キルダール社の買収条件から見えるビジネスチャンスはせいぜい数十億円だっただろう。

ところが、「自社はパソコンのプラットフォームを創造する企業である」という見方をすると、

途端に10兆円以上のポテンシャルが見えてくることになる(マイクロソフトの時価総額は約40兆円)。

半導体製品のサプライヤーという器を超えてインテルの可能性を捉えたことが、その後の飛躍的な

成長を可能にした。

グローブが全米で最高の経営者のひとりと言われる所以はここにある。

 

Exercise  7-2

あなたの所属している会社をどのように定義することができますか?

複数の可能性を考えてみてください。

会社の見方を変えることで、ビジネスチャンスの見え方がどう変わるのか考えてみましょう。

 

 

 

この続きは、次回に。

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