シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ㉝
□ オンライン・トゥ・オフライン
最近、日本でも多くの企業がフラッシュマーケティングという手法による集客ビジネスを
展開している。
もともと創業後1年で黒字化して話題となったアメリカのグルーポンによって注目された
それは、決められた時間内に一定の購買者数を集め、割引や特典などを付与するという
グループ購買によるマーケティング手法だ。
ただ、ここで注目したいのはフラッシュマーケティングの手法ではなく、グルーポンのように
オンラインで集めた消費者をオフラインの実店舗に送客するやり方である。
ウェブからウェブへの送客だけではなく、GPSつき携帯やスマートフォンが普及することにより、
ウェブ経由で情報を収集し、リアルな場所に人を集めるというO2O(オンライン・トゥ・
オフライン)モデルが俄然注目を集めはじめた。
前述したPSSモデルのカー・シェアリング、バイク・シェアリング、ピア・シェアリングや
コラボ的ライフスタイルなど、これらも広い意味でO2Oだ。
消費行動へと向かうモデルだけでなく、コミュニティ活性化に向けてのO2Oを検討してみると
いいかもしれない。
※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。
□ (ウェブ的という意味で)ベース・オブ・ザ・ピラミッド
まず、断っておくがBOP(ベース・オブ・ザ・ピラミッド)はウェブ上の概念ではない。
だが、そのコンセプトがコラボ消費とまったく無縁ではないのでここで触れておく。
BOPとは、所得別の人口比をピラミッド型のグラフで描いたとき、頂点から富裕層、中間層と
続き、低所得者が位置するベース(底辺)を巨大市場と捉えた貧困層向けのビジネスを指す。
そのベースは世界人口の7割を占めるといわれ、特に経済成長が著しい開発途上国では次代の
潜在的な消費者として注目される。
BOPでは商品を安価により多くの人々に提供することで事業収益化を目指すため、リアル版
ロングテールともいえるだろう。
有名なユニリーバの事例では、インドで洗剤やシャンプーを小さな袋に入れて販売、同時に
農村地域の女性を販売員として育成し、女性の自立支援や衛生面での啓蒙活動を促した。
日本の企業もこのBOPビジネスに進出しているが、単に収益性の観点だけではなく、官民が
連携したり、CSR(企業の社会的責任)の視点から行う企業もある。
インターネットを介したコラボ消費のいくつかは、このBOP的な側面を元から備えている。
これまでアービトラージ(裁定取引:価格差を利用して利益を上げる)を駆使し、開発途上国で
安価な生産されたものを先進国の市場で売って稼いだグローバル企業とは逆なやり方が可能だ。
一人ひとりの出資額が少なくても、価格差を味方につけ、さらにクラウドファンディング
することで、開発途上国での事業支援や個人の生計を助けることができる。
コラボ消費の地理的な範囲を拡げることで逆アービトラージとして還流させることができよう。
この続きは、次回に。