書籍「10年後の自分」を考える技術 ㉙
✔ 全体のつながりと必要時間までも考える「アローダイアグラム法」
いま説明した「ブレイクダウン法」では、どうしても進められないケースがある。
それは、ブレイクダウンした要素に守るべき順序があったり、遅れることが
許されないようなケースだ。
その場合には、「アローダイアグラム法」が有効である。
具体的には、先ほどの「家族ケアのプランニング」の例で説明しよう。
要素として挙げたのは、
● 兄弟で話し合う
● 親と話し合う
● 市の福祉支援状況について調べる
● 民間の施設の情報を入手する
● 施設に問い合わせ、施設の空き状況などを確認する
● 金銭的状況についてのシミュレーションモデルを表計算ソフトでつくる
であった。
———-このように、ある要素に取り組むためには、事前に済ませて
おかなければならない別の要素がある。
つまり、「順序がある」ということだ。
もちろん、並行して進められることもある。
こうやって、「順序を守らなければならない要素」と「並行できる要素」を
並べていくと、矢印(アロー)で結ばれたダイアグラム(図)が描ける。
※ 図のため、省略致します。
この「最長経路(兄弟の話し合い→市の福祉支援状況調査→金銭シミュレー
ション→兄弟の話し合い2回目→親との話し合い)」を、「絶対に遅らせては
ならない」という意味で、クリティカルパス(重要経路)という。
このように考えると、「遅れてはいけないもの」と「多少遅れてもいいもの」が
「見える化」されて、行動にメリハリがつけやすくなることがわかるだろう。
✔ 「ガントチャート」との違い
このアローダイアグラムを使ったクリティカルパスの考え方はCPM
(クリティカル・メソッド)と呼ばれている。
CPMはプロジェクトマネジメント手法のひとつで、1950年代に考案
されたものだ。
プロジェクトマネジメント法というと、横棒グラフを使った「ガント
チャート」というのが一般的なようだ。
ブレイクダウン法で示したように、プロジェクトの各段階を細かい作業
ステップにまで分解し、それらの項目を縦軸に、その期日を横軸に並べた表に、
棒グラフでスケジュールを示していく。
それがガントチャートだ。
「いつ何をやればいいか」を知る目的だけであれば、このガントチャートで
十分なのだが、私は、要素間のつながりと「遅れ」についてメリハリがわかる
アローダイアグラ法を使うことが多い。
特に、並行作業が多く、遅れてはならない期日があるプロジェクトでは、
絶対にアローダイアグラム法を使う。
企業戦略の実行計画などでも、自分のタスクの遅れが全体にどう影響するのかが
よくわかるようになるし、どのくらいの余裕度があるのかを理解し、可視化する
方法として、とてもおすすめである。
ぜひ使いこなせるようになってもらいたい。
このように、全体と詳細を同時に見えていく手法が「プレイクダウン法」と
「アローダイアグラム法」であり、両方ともシンプルで、特にむずかしい
ものではない。
途中の修正を恐れずに、具体的な計画をつくって、行動を始めてみては
どうだろうか?
この続きは、次回に。