お問い合せ

危機の時代 ジム・ロジャーズ ㉘

・朝鮮半島にはチャンスがある

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮との対話に積極的で、

将来的には両国が統一される可能性もあるだろう。

もちろん南北がすぐに統一されることはなく、ハードルもあるが、期待して

いい状況だと思っている。

 

本当の問題は米国にある。

米国は韓国に陸軍と空軍を中心に3万人の軍隊を駐留させており、軍事的な

重要性がある韓国から去りたくないと考えている。

韓国は、米国が中国国境とロシア国境に近いエリアに軍隊を駐留させることが

できる唯一の場所だからだ。

だからこそ、駐留費の負担などで韓国政府にいろいろ注文を出しているが、

本当は去りたくないと思っている。

在韓米軍が韓国から去ろうにも、日本や台湾は、韓国の代わりにはならない。

米軍が同盟国を守ることができる置きかえがきかない場所が韓国なので、

それが問題だ。しかし、韓国の文大統領と、北朝鮮の金総書記が統一を

視野に入れている以上、チャンスがあると私は考えている。

 

北朝鮮と韓国がにらみあっている38度線が開放されると、今後10年または

20年の間、非常にエキサイティングなことが起きるだろう。

ドイツやベトナムの統一は、経済の活性化につながった。

 

朝鮮民族は、南北朝鮮と中国に住んでいる朝鮮族を含めると約8000万人に

達する。彼らには宗教的な問題はない。

朝鮮半島にほど近い、ロシア極東の中核都市であるウラジオストクも

非常に刺激的な場所だ。

プーチン大統領が鉄道に投資するなど、多くの理由からウラジオストクは

非常に可能性がある。彼はウラジオストクを発展させるだけでなく、現地に

世界有数の大学を作りたいと考えており、そこに多くの投資をしている。

多くの中国人、韓国人、日本人がウラジオストクを訪れている。

30年前、ウラジオストクは秘密の都市で、外国人は訪れることができな

かったが、今は許可されている。

 

もちろん西側社会からロシアは嫌われ、中国も嫌われている。

それでも私はむしろ両国にチャンスがあると考えており、積極的に投資

したいと思っている。

 

ほかの地域では、ミャンマーも良くなるだろう。ウズベキスタンも劇的に

変化している。韓国やベトナムほどの規模はないが、良いことが起きている。

イランにも問題はあるものの、投資のチャンスはありそうだ。

 

危機が起きて、株価が大幅に下落するとチャンスが生まれる。

最近まで私は米国株の購入を考えていなかった。過去最高値だったからだ。

日本も同じような株高が続いていた。しかし今、環境は大きく変化している。

高いものを買って高く売るのが得意な人もいるが、私はそれが得意ではない。

だから、私はめったにそのような試みをしない。

変化が起きていると思う場所で、価格が非常に落ち込んでいるものを

買いたいと思っている。

ある商品の価格が大幅に下落していて、変化があれば、通常はお金を

稼ぐことができる。

 

・日本はどうすべきか

 

日本はどうするか。

子どもたちの幸せを考えれば、私は日本に住んでいる人は海外へ移住を

考えるべきだと思う。移住すべき先は米国ではない。

外国人を受け入れなくなった国は衰退する。

 

日本は少子化に悩んでいる。

たくさんの赤ちゃんが生まれなければ、日本の人口は減少するが、すでに

減少が続いている。それでも債務は増えていく。

日本が置かれた状況は深刻で、将来について非常に否定的にならざるを得ない。

問題解決の方法は2つある。

膨れ上がる一方の借金に歯止めをかけて減らす。

そしてより多くの移民を受け入れることだ。

日本は外国人が好きではないが、それでは日本は衰退してしまう。

 

これは私の意見ではない。数字に基づいた単純な事実であり、非常にシンプルだ。

赤ちゃんを産む人が減っている事情は理解できる。

子育てには非常にたくさんのお金がかかるからだ。

日本に限らず、多くの先進国で同じ問題が起きている。

シンガポールでも、韓国でも、欧州でも状況は似ている。

教育を受けて、仕事を持っている女性は子供を多く持ちたがらない。

こうした問題を解決する手段の1つが移民の受け入れになる。

 

イノベーション=技術革新は多様性から生まれる。

みんながクレイジーなアイデアを持っていると、ユニークなイノベーションが

起きやすい。多様なバックグラウンドの人々が集まれば、異なるアイデアが

生まれやすいのは当然だ。

多様性があれば、それがイノベーションにつながる。

 

大学のような教育機関でイノベーションを教えるのは難しい。

普通はうまくいかないものだ。大学よりも、両親から何かを学んだ方がいい。

私は子供たちにさまざまなことを教えている。もちろん多様性があっても、

驚くようなイノベーションが起きるのは稀なことだ。

 

 

この続きは、次回に。

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