ブランディングが9割 ④
✔ そもそもブランドとは何か?
では、ブランドとは何かというと、企業とお客さんとの接点を通して、
お客さんに評価され、お客さんの頭の中に蓄積されていく価値のことです。
ブランドは、企業側とお客さんとの接点を通じ、五感によって体験する
ことでしか感じることができません。
そのため企業側は、商品や売り場、オンライン上のコミュニケーション、
店頭での接客など、様々なお客さんとの接点(=タッチポイント)において、
ブランドの特徴やお客さんへの提供価値などを、一貫性を持って伝えて
いく必要があります。
お客さんの頭の中にブランドを構築し、価値を高めて確固たる評価を得て
いくことをブランディングと呼びます。
簡単に言うと、ブランディング活動とはブランド価値を高める活動のこと
です。
私はセミナーでよく『無印良品』というブランド名を聞いて、思い出す
キーワードは何ですか」と聞きます。
「無駄のない」「質素」「洗練された」「日本を代表するブランド」などが
出てくるのですが、ほぼ100%と言っていいほど必ず出てくるキーワードが
あります。それは「シンプル」という回答です。
企業側もおそらく、ブランドとして「シンプル」を重要視していること
でしょう。その証拠に、店舗や商品、広告など各タッチポイントでの統一
したデザイン、世界観は「シンプル」に集約されています。
「無印良品」と聞いて「シンプル」という言葉が出てくる理由は、無印
良品が長時間にわたり、ブランドのエッセンス(ブランドとしての大切な
要素)でもある「シンプルさ」を構築してきたからこそだと言えます。
強いブランドにはそういったブランドのエッセンスがあり、それがしっかり
お客さんに伝わり、頭の中に焼き付いているのです。
□ 企業にとってブランドは無形資産である
企業側の視点で見ると、ブランドとは価値観を含んだ概念であり、無形
資産でもあります (ブランド=無形資産)。
ブランドコンサルティング会社の世界最大手、インターブランド社は、
ブランドを「常に変化するビジネスアセット(資産)」と定義しています。
無形資産とはその名のとおり、形のない資産のことです。
工場や設備といった、目に見える資産とは違い、特許や著作権など目に
見えない資産のことを言います。
資産であるからには、ブランドとは将来的に会社に利益をもたらすものだと
言えます。
✔ ブランドは長期的な利益を生み出す源泉
ブランドとは無形資産であるとお伝えしましたが、比較的、中長期的な
戦略の視点が置かれるブランドには、長期的な利益を生み出す力があります。
ブランド力があると、具体的には、次のようなメリットがあります。
■ 価格競争をしなくていい
■ リピーターが常に指名買いしてくれる
お客さんがそのブランドの商品やサービスを気に入れば、基本的には買い
続けるので、長期的に利益を確保することができるのです。
■ お客さんが勝手に宣伝してくれる
ブランド力があると、お客さんがそのブランドのファンになって、勝手に
そのブランドを宣伝してくれるのです。
企業側としては、より発信力の高いお客さんがファンになることで、広告
宣伝費をかけずにブランド力を高めることができるのです。
したがって現代では、お客さんと上手に関係を構築し、共にブランドを創り、
ロイヤリティ(お客さんのブランドへの愛着・忠誠心)を高めていくことが、
ブランディングに置いてポイントとなっています。
■ 取引先との交渉で有利になる
ブランドの力は、取引先との交渉でも有利に働きます。
ブランド力のある商品やサービスは、ブランド力がない商品やサービスと
比べてよく売れるので、取引先にとってもたいへん魅力的です。
だから、より良い条件で交渉しやすくなるのです。
ブランド力がないと競合の商品に負けて、どんどん棚の隅に追いやられ、
しまいには店頭に置いてもらえなくなってしまうでしょう。
■ 従業員も売りたくなる
ブランド力があると、従業員もモチベーションが上がって積極的に売る
でしょう。
営業や販売店舗の従業員はお客さんに直接、接することが多いため、
彼らがそのブランドを好きかどうか、影響はより大きいと言えます。
■ 採用が有利になる
ブランド力があれば、その商品やサービスを好きだからそこで働きたい
という人も出てくるはずです。つまり、その会社で働きたいという意欲を
持った優秀な人材が採用しやすくなるということです。
この続きは、次回に。