ブランディングが9割 ⑪
第3章 「顧客の本当のホンネ」を探す
<インサイト>
✔ ブランドの本当の顧客は誰か
経済が成長している時は、すべての人をターゲットにしてもよく売れたかも
しれませんが、消費者のニーズが多様化した昨今では、それではうまくいき
ません。お客さんの心に刺さるような、強いブランド力が必要です。
それには、お客さんを絞ることが必要です。
本章では、顧客を中心に、どういった人をターゲットにすればよいか、
顧客の「ホンネ」をどのようにして理解していくのかを見ていきます。
・ブランドのターゲットは誰か
まずブランドのターゲットについて考えていきたいのですが、「あなたの
ブランドのターゲットは誰ですか?」と聞かれたら、素直になんと答える
でしょうか。
ちょっと極端な話ですが、そんな風に年代も趣向も幅広く、要素をあれこれ
入れた「多くの人」を対象にしたブランドとなると、特徴があまり見えて
こなくなってしまいます。
要素をいろいろ入れると特徴がなくなってくるというのは、たくさんの色の
絵の具を混ぜるとどんどん黒に近づいていくことと似ているかもしれません。
つまり、「多くの人」を対象にすればするほど、ブランドとしての特徴が
なくなり、平凡なブランドになってしまうのです。
逆に、「10代の派手好き」と「60代の質素好き」と分けるだけで、お客さんが
どんな人かクリアになり、よりイメージが湧いてくるのです。
例えば、「どちらかというと派手好きで、仲間と遊ぶことを好み、友達と公園で
スケボーを楽しむような10代後半の男子」という風に、より具体的に理想の
お客さんをイメージすることで、ブランドのお客さん像がより明確になって
いきます。そのような理想のお客さん像を、「ブランドのターゲット」と
いいます(ブランドのコアターゲットともいいます)。
言い換えれば、企業側(ブランド側)が「こんな人に利用してほしい」と言う
象徴的な人であり、ブランドの価値観・世界観に共感できる人のことです。
・ターゲットの属性は「人口統計的」「心理的」側面から考慮する
理想のお客さん像を考えるときは、「届けたいブランドの良さを分かって
くれる人は、いったいどんな人なのか」を明確にすることが重要です。
以前と違い、現代社会では、ライフスタイルや価値観がより多様化してきて
いることから、ターゲットとなる顧客をより深く検討する必要があります。
具体的には、性別や年齢など人口統計的(デモグラフィック)な側面と、
ライフスタイルや価値観といった心理的(サイコグラフィック)な側面を
捉えることが大事です。
□ 人口統計的属性(デモグラフィック)
性別、年齢、職業、居住地、家族構成、学歴、年収など
□ 心理的属性(サイコグラフィック)
性格、価値感、ライフスタイル、気持ち、嗜好性、悩み、願望など
ブランドはお客さんの頭の中でつくられていくものなので、好き嫌い、
楽しさ、おしゃれ、憧れなど、ライフスタイルや価値観などの心理的側面を
検討することがポイントになっていきます。
ターゲットを表面的にだけでなく、心の奥を読み取った上で設定することで、
お客さんに選ばれ、「大好き!」と言ってもらえるような魅力的なブランドに
なります。
そのためには、ターゲットを意識した価値観や世界観をつくることが必要です。
この続きは、次回に。