ブランディングが9割 ⑬
✔ 「ペルソナ」を設定して、ターゲットを具体化する
一人のお客さんを喜ばせることができずして、10人20人とお客さんを喜ばせる
ことができるでしょうか。そう考えると、ブランドの空極は「具体的な一人を
喜ばせられるかどうかにかかっている」とわかると思います。
では「具体的な一人」とはどんな人なのか。
ブランドのターゲットはどんな性格で、どんな日々を過ごしているか、
より深い考察がないと、何を求めているか想像がつきづらいでしょう。
そこで有効なのが、「ペルソナ」の設定です。
「ペルソナ」とは、ターゲットの代表的な一人を具体化した、象徴的な
顧客像のことを言います。
ペルソナとブランドの違いは、その設定の深さです。
ブランドのターゲットから代表的な一人を抽出し、年齢でもライフスタイルでも、
より象徴的なところをピックアップしてつくりあげる人物像、というのが
ペルソナです。
ペルソナ設定の良いところは、ターゲットの視点で考えられる点があります。
「この人ならこんな行動をするのではないか」など、ヒントを探すことが
できます。また、社内でブランドを語る時にも、別々の部署でブランドの
ターゲットを語る際に、ペルソナがあることで意思統一を図ることができます。
ブランドづくりでは一貫性が重要なので、部署ごとにターゲット像がずれる
ことがあってはならないのです。
ペルソナは、実際には存在していない人物なのですが、性別、年齢、住まい、
職業、年収などの人口統計学的属性(デモグラフィック)から、価値観、趣味、
趣向、ライフスタイルなど心理的属性(サイコグラフィック)まで、あたかも
本当に存在するかのように、リアリティのある人物を設定していきます。
ペルソナはできるだけ、「本当にいそうだ」と思わせるような設定がよい
でしょう。リアリティが高いことによって、ブランドに携わる人がその
ペルソナに共感できたり、その人を喜ばせたいと思うからです。
お客さんの購買に至る背景や前後のストーリーは、ブランディング活動を
行ううえで基盤となるものです。
ペルソナを設定し、その人物のことを考えることで、売り手都合の訴求では
なく、買い手からの共感が得られるようなブランドをつくっていきましょう。
✔ 顧客の心の奥底にある「ホンネ」を探ろう
ターゲットとするお客さんが特定できたら、今度は、そのお客さんが自らは
語らない。心の奥底にある「ホンネ」を探っていきます。
「なんとなく」とは、そこまで意識していないのに、無意識のうちに購入を
決断したということです。
そんな風に、人間の心の奥底にある「ホンネ」が何なのかを解き明かして
いきます。お客さん自身も気づいていないような、この心の奥底にある
ホンネを、マーケティング用語で、「インサイト」と言います。
インサイトとは、(ブランドを選択する際の)お客さんの洞察や深い理解の
ことで、「購買意欲を後押しするボタン」とも言われています。
インサイトには、本人が自覚している「ホンネ」もあれば、自覚していても
言い表せなかったり、言いたくなかったり、思い出せなかったり、そもそも
自覚していない「ホンネ」もあるでしょう。
顧客の「ホンネ」を上手に解明し、インサイトを探すことが、ブランド
づくりにおける成功のカギとなっていきます。
・なぜ、顧客インサイトを把握することが大事なのか
「インサイト」がなぜそこまで重要かというと、顕在的なニーズは、既に
競合他社も把握しており、そこをもとに開発された商品では、差別化する
ことが難しいからです。強いブランドをつくるには、お客さん自身もまだ
わからない、隠れた真実である「インサイト」をより早く把握することが
必要であり、それが差別化のカギとなります。
競合との違いがなくなってきている昨今では、お客さんが表に出していない、
裏にある「ホンネ」の部分を早く探り出し、いかに差別化するかが、
ブランドとしての勝負の分かれ道になります。
この続きは、次回に。