ブランディングが9割 ㉓
● ブランドの「目指す姿」の決定
分析を行うと、3Cそれぞれの視点から重なり合うところの「ブランドの
提供価値」がだんだんと見えてきます。
あとはそれを文章にまとめるだけです。
RefLiteの場合、「ハイスペック品」「京都の色彩の豊さ」という強みを持ち、
開発担当者やデザイナーの琴線に触れることや、「本当は目立ちたい」という
顧客インサイトを掴むことがポイントだとわかりました。
そして、高機能だがファッション性のあるブランドは競合になく、差別化が
可能ということも。
この3つ重なり合ったところを上手に表現すると、RefLiteなら使い手自身も
輝かせることができると考え、「『無限の彩りで輝かせる』ことこそが
提供価値」としました。
そして、ブランドの「目指す姿」を「輝こう。無限の彩りで。」と設定
しました。
■「目指す姿」をつくり出すときのチェックポイント
1. 自社の強みや個性が出ているか
競合を基準にブランドづくりをしていては、競合を超えるブランドには
なれません。
ブランドは、自社の強みを発揮できてこそ輝くことができます。
自社のブランドには、自社にしかない個性が必ずあります。
ブランドの「目指す姿」には、自社の強みや個性を出していきましょう。
社内で議論したのであれば、その中に強みとなるエッセンスがあるはず
なので、それを「目指す姿」に取り入れるようにしましょう。
その方がお客さんに伝わりやすく、また、従業員も共感してくれます。
なんとなく無難なものになってしまっては、他との差別化もできず、特徴の
ないものになってしまいます。
ダイソンの「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」は、自社の強みが
出ていて、どんな価値を提供してくれるのかとてもわかりやすいです。
2. 顧客にとって価値があるものになっているか
「目指す姿」は、「顧客にとってどんな価値をもたらすか」がわかることが
重要です。
お客さんが求めているのは、商品そのものではなく、商品を使ったことにより
どんな体験をし、ベネフィット(=便益)を得るか、ということです。
3. 誰にでもわかりやすく、従業員やお客さんに共感してもらえるか
「目指す姿」は、社内共通のキーワードにするため、極力シンプルで
わかりやすい方がいいでしょう。単純に、そうでないと顧客や従業員に
伝わりづらいからです。
後にインナーブランディング(従業員へのブランド促進活動)について話を
しますが、わかりやすく共感できるものにするというのが、成功の秘訣と
言ってもよいでしょう。
カインズはブランドの目指す姿を「くらしに、ららら。」としたことで、
多くの従業員(特に店舗のスタッフ)に、会社の考え方が浸透したそうです。
「それ、『くらしに、ららら』している?」ということがキーワードに
なっているのではないでしょうか。
4. 「当たり前のこと」になってしまっていないか
「目指す姿」に、競合でも使用していそうなキーワードを使用してもあまり
意味がありません。競合との違いを明確にし、顧客にとっての価値を考える
必要があります。
当たり前のことを書かないように注意しなければなりません。
以前、PBのブランド開発時に、各社のブランドのコンセプトを調査したの
ですが、多くのブランドが「安全」「安心」「信頼」「品質」「安さ」と
書いていました。
食品を扱うブランドであれば、「安全」や「品質」は前提条件です。
それ以上の他社にない価値を提供する必要があるでしょう。
この続きは、次回に。